2015年04月20日

福岡高裁も佐賀大に賠償命令 - カープに入ったあなたが悪い(危険への接近の法理)通用せず

追記 1(2015-04-21 午後):記事内の、「危険への接近の法理」について、限られた情報の中で、私の想像でまとめた箇所があります。室生忠さんのコメントも参考にして下さい。

追記 2(2015-04-21 午後):佐賀新聞が、今回の高裁判決について記事にしました。記事最後に追記いたします。

追記 3 (2015-04-24 午前):本記事内で、「危険への接近」の法理が、被告側が、訴訟内でどのように使われたか、私が想像で書いた箇所がありますが、その想像は正しくありませんでた。新記事(2015-04-24付)「佐賀大学「信仰の自由」裁判: 被告主張 「危険への接近」 の法理 は通用せず」で、改めて説明いたしました。
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2012年5月17日に、佐賀大学女子学生と、彼女の両親が、佐賀大学と、森善宣(よしのぶ)准教授を相手取り、信教の自由を侵害され、名誉毀損されたとして、440万円の損害賠償を求める訴えを、佐賀地方裁判所に起こした。

その女子大生は、当時、佐賀大学カープ(原理研究会 = 統一教会系列の学生組織)のメンバーであり、統一教会の会員でもあった。彼女の両親は、統一教会の1982年の合同結婚式に参加した。

訴状によれば、佐賀大学生のAさんが、2012年2月10日、森准教授の部屋に呼び出され、Aさんは、彼女の信仰を軽蔑・侮蔑する発言を繰り返され、カープ、統一教会からの脱会を執拗に迫られた。また、森准教授は、Aさんの両親についても言及し、統一教会の合同結婚式を「犬猫の結婚」と侮蔑した。Aさんらは、大学側に誠意ある謝罪を求めたが、大学側が応じなかったため、法的手段に訴えた。

第一審の判決が、2014年4月25日に言い渡され、佐賀地裁は、「森准教授は、配慮を欠いた発言で、信仰の自由を侵害した」 と指摘し、「国立大学の職員としての発言であり、大学が賠償責任を負う」 とし、大学側に、計8万8000円の支払いを命じた。これに対し、原告、被告双方が、上告していた。

その控訴審の判決が、2015年4月20日、福岡高裁にて言い渡された。今回の記事は、その控訴審判決について、統一教会広報部のプレスリリースの紹介と、私の簡単なコメントを加えたいと思う。

Fukuoka Press Conf 2015 04 20.jpg
Photo: 統一教会公式サイトより
判決後、福岡市内での記者会見
http://www.ucjp.org/?p=18892


統一教会広報局サイト 雲外蒼天 に、そのプレスリリースが発表されているので、全文を引用させて頂く。引用に続いて、簡単に私のコメントも書きたいと思う。

統一教会広報局サイト 雲外蒼天
プレスリリース「福岡高裁も佐賀大学に損害賠償命令」

http://www.uc-pr.org/press-release/2015/saga-univ/
カラーは、あとで、私のコメントで出てくるところ
4月20日、広報局からマスコミ各社に配信したプレスリリースを公開致します。

平成27年(2015年)4月20日


報道関係者各位

宗教法人 世界基督教統一神霊協会 広報局
TEL:03-3467-3184 FAX:03-3485-0412


女子学生に対する信仰の自由・名誉感情の侵害につき、
福岡高裁も佐賀大学に損害賠償命令


当会信者である佐賀大学の女子学生(当時22才)とその両親が、信仰について侮辱され、棄教を迫られたと主張し、同大学(佛淵孝夫学長)と同大学准教授(当時53歳)に対し損害賠償440万円を求めた民事訴訟の判決が平成26年4月25日、佐賀地裁であり、同大学に対して、信仰の自由を侵害する不法行為であるとして損害賠償を命じる判決を下しました。そして、平成27年4月20日、福岡高裁(裁判長:大工強)は、佐賀地裁判決と同様に、同大学に対して合計8万8千円の損害賠償命令を言い渡しました。

1. 原告らの主張

2012年2月10日、原告の女子学生は、担当教員であった被告森善宣(よしのぶ)()准教授に呼び出され、研究室に行ったところ、被告森から信仰について軽蔑・侮辱する発言を繰り返され、当会や女子学生が加入しているCARP(原理研究会)からの脱会を執拗に迫られました。さらに被告森は、両親の信仰にも言及し、統一教会の合同結婚式は「犬猫の結婚」であり、原告らの家族の生活は「犬猫の暮らし」などと侮蔑しました。これを受け、原告らは、信仰の自由を侵害され、名誉感情を侵害されたとして、被告森及び被告佐賀大学に対して、損害賠償を請求しました。

なお、被告森の発言によると、被告佐賀大学は教授会で「CARPに入会した学生には脱会を指導するように」との指示をしていたことから、原告らは、本件行為は教員による学生指導であると同時に、大学の指示によるものであって、被告大学は賠償責任を免れることはできないと主張しました。

2. 被告らの主張

被告森は、統一教会に対する意見や考えを伝えたのであり、合同結婚式についても例え話として、人間と動物の違いについて発言したに過ぎないなどと主張し、不法行為の成立を否認しました。また、被告佐賀大学は、被告森と同様、不法行為の成立を否認し、かつ、本件行為は、被告森の個人的な指導によるものであり、大学としては、日頃から教員が学生のプライバシーに過度に踏み込まぬように指導をし、相当の注意をしていたのであるから原告らに対して賠償の責任を負わないと主張し、大学の賠償責任を否認しました。 

3. 佐賀地裁の判決内容

@ 判決は、被告佐賀大学に対して、原告の元女子学生に対しては4万4千円、原告の両親に対しては、それぞれ2万2千円の合計8万8千円の支払いを命じました。

A 本件は公権力の行使に当たるとし、国家賠償法が適用されると認めました。従って、本件が不法行為に該当するとしても、森准教授個人に対する責任は問われず、法的責任は被告国立大学法人佐賀大学のみが負うものとされました。

B 被告森准教授の原告に対する行為が不法行為に該当するか否かの認定については、信仰の自由に対する侵害及び名誉感情に対する侵害に該当するとして、不法行為の成立を認め、その損害賠償責任を被告佐賀大学が負うと判示しました。

4. 福岡高裁の判決内容

@ 国立大学法人佐賀大学に対して、国家賠償法の適用があるか否かについて、国立大学法人における教育活動は「公権力の行使」に該当するとして、これを肯定しました。

A 佐賀大学が主張した統一協会やその信者が起こしたとする社会問題については、それによって原告らが名誉感情を侵害されたことを減殺することはない、と判断しました。

B 准教授の発言を直接聞いていない両親に対する人格権の侵害についても、そのような発言の事実を認識したことで成立すると判断しました。

C 佐賀大学が主張した「危険への接近」の法理についても、これを否定する判断をしました。

D 原告らが主張した准教授の発言が政教分離原則に違反するとの主張については、同原則が制度的保障であり、私人に対する関係で当然に違法と評価されるものではないとして、その主張を退けた。

5. 判決の評価

佐賀大学の責任を認めたことにおいては評価できるが、金額的評価としては低すぎると言わざるを得ない。上記4のDの判断については、憲法論として問題があると考えている。

6. 原告のコメント

元女子学生のコメント「佐賀大学の違法な人権侵害について高等裁判所が認めてくれたことは良かったと思います。今後、大学において信教の自由に対する侵害がなくなることを祈っています」。

両親のコメント「佐賀地裁の判決後も佐賀大学ではいまだにCARPを名指しした批判ビラが掲示されていると聞いています。高裁の判決を機にこのようなことは一切改めていただきたいと考えています。上告するかしないかについては、代理人と相談して決めたい」。

7. 関係者のコメント

鴨野守・統一教会広報局長「統一教会に対する偏見を是正する判決として評価したい。しかし、十分に統一教会の信徒の信仰が守られているとは言えない状況にあることは間違いないので、引き続き大学当局はじめ関係機関に改善を求めていきます」。

中本和誉・CARP広報渉外担当「今年の春も、中央大学、名古屋大学、長崎大学など多数の大学においてCARPと統一教会を批判するビラが配布され、オリエンテーションが行われたことはまことに残念です。このような事態が一刻も早く改められるよう、強く要請します」。



以下、私のコメント。

「危険への接近の法理」とは?
プレスリリースを読んで、1箇所、意味のわからないところがあった。「危険への接近の法理」 である。被告側の主張であるが、裁判所は却下したということだ。すでに、ブログ 火の粉を払え (米本和広氏) で、今回のプレスリリースが紹介され、「危険への接近の法理」 について説明してくださっている。
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-581.html#more

しかし、それでも、私には、この始めて聞く言葉がよく理解できなくて、もうちょっと調べてみた。

小田急線騒音差止・損害賠償請求
http://www.kougailaw.jp/case/2013/10/entry-75.html
危険への接近論とは、一言でいえば、「騒音が発生しているところに被害者のほうがあとから来た場合には、損害賠償請求権が認められなかったり、損害賠償額が減額されたりすることがあり得る」という法理です。 判例上、騒音等の公害訴訟において、このような危険への接近論が適用されることは一般論としては確立していますが、実際にどのような要件が満たされていれば適用されるのかについては、必ずしも基準が明確に確立されているわけではありません。
この件で言えば、騒音問題で訴えられた小田急側が、「もともと、騒音があるのに、引っ越してきたあなたにも責任があるよ」 という、訴えた者(住民)に不利に、訴えられた者(小田急線)には有利に使える法理である。訴えられた者が、自らを弁護する一つの法理(防衛論)ということだろう。

では、今回の佐賀大の訴訟で、訴えられた大学は、この 「危険への接近の法理」 をどのように使ったのか? 私は、被告側の提出書類を読んだわけでもなく、控訴審の判決文を持っているわけではないので、想像するしかない。(あとで、私の説明が間違っていることが分かったら、その時に訂正したいと思う。)

被告の主張はこんな感じか?(私の想像なので、ご了解を。)
統一教会は、反社会的な行為を行う団体であり、カープはその大学組織であり、危険な団体である。そのような危険な団体に入会(接近)した原告にも、責任があり、大学側の責任は、限りなくゼロに近い。

後藤裁判では、こういうのがある。被告達は、統一教会の反社会的活動などを、何十ページにもわたり、文書にして提出し、統一教会の負のイメージを効果的に述べ、そののち、「一度しかない人生を統一協会の反社会的な活動に捧げていることが悲しくて,不憫 (ふびん) でならなかった」と、愛情作戦を展開した。(これは、一審判決では、大いに効果があった。)

今回の佐賀大の事案では、被告等は、同様に、統一教会の負のイメージを効果的に述べ、そののち、「そんな危険な団体に入ったあなたも悪いのよ」 と、「危険への接近の法理」 作戦を展開したということか? 次回は、いったいどんな作戦を展開してくれるのか、楽しみでもある。

最高裁への上告を望む
上記、統一教会のプレスリリースには、「佐賀大学の責任を認めたことにおいては評価できるが、金額的評価としては低すぎると言わざるを得ない。上記4のDの判断については、憲法論として問題があると考えている。

4のDの判断というのは、「准教授の発言が政教分離原則に違反するとの主張については退けられた」という判断の箇所である。

宗教の自由、信教の自由は、闘いなくして、手に入らない・・・というのが、私の基本的な考えである。「憲法論として問題がある」ということなので、是非、最高裁に上告し、最高裁の判断を仰いでほしい。

追記:2015-04-21 午後
佐賀新聞が、今回の控訴審判決を報道しました。以下の通り、紹介させて頂きます。

統一教会を侮辱 福岡高裁、佐大側に賠償命令 (佐賀新聞)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10102/179042
2015年04月21日 10時00分
佐賀大の学生だった20代女性と両親が、50代の男性准教授から統一教会の信仰を侮辱され、信教の自由が侵害されたとして、同大に440万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は20日、8万8千円の賠償を命じた一審の佐賀地裁判決をほぼ支持し、女性と大学側双方の控訴を棄却した。

大工強裁判長は、准教授の発言が「配慮を欠く不適切な表現を繰り返して信仰をやめるよう求め、信仰の自由や名誉感情を侵害した」と判断。ただ、女性が准教授との会話を無断で録音したことについては、大学でのカルト対策を萎縮させる目的だったと認定した。

判決によると、准教授は2012年2月、研究室でゼミ生だった女性に統一教会の教義を批判して脱会を迫り、女性の両親が参加した合同結婚式を「犬猫の結婚」などと侮辱した。

女性側は「大学の責任を認めたことは評価できるが、賠償額が低く、上告を検討する」とした。大学側は「控訴審でも教員の問題発言が認定され、重く受け止めている」とのコメントを出した。


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posted by 管理人:Yoshi at 21:36| Comment(3) | TrackBack(0) | 大学の宗教迫害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
小生もまだ判決文を読んでいません。いずれ詳細を雑誌に書きますが、被告・佐賀大側は、原告・女子大生がかねてより被告・森善宣准教授の不穏当な言動を承知しながら、佐賀大と森准教授を提訴する材料を収集するため敢えて被告森の呼び出しに応じた、と主張しています。
「危険への接近の法理」とは、おそらくそのことを指しているのだと思います。

Posted by 室生忠 at 2015年04月21日 09:54
室生さん、

貴重な情報ありがとうございます。

限られた情報の中での、私の想像力で描いた構図も、いい線行ったかな?と思ったのですが・・・

とりあえず、上記本文(タイトル含)は、そのまま置いておきますので、読者の皆様も、上記、室生さんのコメントを参考に、想像力を生かしてお読み下さい。

後ほど、想像力を働かせなくてもよくなった時点で、記事を訂正するか、あるいは、新記事をアップするようにいたします。室生さんのコメントに従って、当記事のタイトルを付け替えるとすると、こんな感じになります。

福岡高裁も佐賀大に賠償命令 - 准教授の呼び出しに応じたあなたが悪い(危険への接近の法理)通用せず

あと、佐賀新聞に、この判決の記事が出ましたので、記事最後に、加えました。
Posted by Yoshi Fujiwara at 2015年04月21日 14:14
本記事内で、「危険への接近」の法理が、被告側が、訴訟内でどのように使われたか、私が想像で書いた箇所がありますが、その想像は正しくありませんでた。

新記事(2015-04-24付)「佐賀大学「信仰の自由」裁判: 被告主張 「危険への接近」 の法理 は通用せず」で、改めて説明いたしました。

http://humanrightslink.seesaa.net/article/417799938.html
Posted by Yoshi Fujiwara at 2015年04月24日 11:20
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