2014年1月の第一審判決は、宮村の責任が’限定的であったとしても、認められたことは、画期的なことであった。しかし、心から喜べるものではなかった。残念ながら、その第一審の画期的さをもってしても、拉致監禁の抑止力にはならなかった。まるで、あざ笑うかのように、それ以降も、拉致監禁事件は起きた。
抑止力となるために、何が足らなかったのか? 控訴審判決に何を期待したらいいのか? そんなことを、思ったまま、判決日前日まで、時間の許す限り、書いてみたいと思う。
損害賠償金の低さ
後藤裁判控訴審で、フランスの国際人権法令を専門するパトリシア・デゥバル弁護士が、意見書を提出した。その意見書の中の、「親族に関する裁判所の事実認定について」 の箇所で、彼女は次のように指摘している。
★後藤氏に対して認められた損害賠償は甚だしく低額である。
http://antihogosettoku.blog111.fc2.com/blog-entry-278.html
裁判所は、原告に対する10年以上もの長期間の不法行為について、400万円の賠償を認めたが、この期間中、原告の行動の自由は、本人の明瞭な意思表示も無視され、極めて制限されたものだった。東京地裁は、「原告が経験した心理的苦痛は途方もないもの」 と認定した。
それにも拘らず裁判所は、親族が 「家族の一員である原告への愛情と心配のゆえに、前述のような不法行為に走った」 と認定し、これら一切の事情を総合考慮して、400万円は妥当な賠償であると認めたのだ。
従って、原告が孤立状態の中で 「途方もない」 精神的苦痛を受けながら過ごした1年について40万円を支払うように認定したわけだが、裁判所はそうした強制手段は、原告の宗教的帰属について 「愛情」 と「心配」 に基づいたものだったというのだ。
2002年’8月7日、大阪高裁は、後藤氏と同様に拉致され16日間にわたって監禁され、強制的な 「説得」 を受けたエホバの証人の信者にたいして、「相当な身体的・精神的苦痛」 に対する損害賠償として30万円、弁護士費用として10万円の、合計40万円を認容した。
これは後藤氏に対して認められた金額の1年分に相当する。後藤氏が10年間にわたって強制的に監禁されたことを踏まえると、彼に対して認められた損害賠償は比較すれば甚だしく低額であると言える。
原告の途方もない心理的苦痛とその期間が正しく考慮され、損害賠償額に反映されるされるべきである。控訴審での損害賠償額の判断は、私のもっとも重大な関心事の一つである。
関連資料
★被告の 「愛情作戦」 慰謝料算定に大きく影響
http://humanrightslink.seesaa.net/article/397975926.html
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