幸運にも、被害者本人が、警察に緊急通報を入れることができ解放されたが、警察の対応には、大いに疑問が残る。
過去の、国会での拉致監禁問題に対する質疑から、警察が本来とるべき行動と、最近の事例を用い、そのギャップについて書いて見たい。
■国会質疑:2000年4月24日 桧田仁 (ひのきだ・じん) 議員
2000年4月24日、自民党の桧田仁・衆院議員 (当事) は、衆院決算行政監視委員会第3分科会において、30分にわたって、"1997年に鳥取でおきた鳥取統一教会襲撃事件と富澤裕子の拉致監禁事件の警察の対応等" について、質疑している。
★田中節夫・警察庁長官 (田中政府参考人) の答弁
http://kidnapping.jp/voice/000420.pdf
(P32〜36 より抜粋)
憲法二十条の信教の自由及び憲法十四条の法のもとの平等につきましても、警察活動がこの憲法の規定を損なうようなことが決してあってはならないわけでございまして、具体的な活動が信教の自由を侵害せず、また法のものと平等が損なわれないように行われることは当然のことであると考えているところでございます。
親子あるいは親族でありましても、すべての国民は法のもとに平等でございまして、警察の債務の遂行に当たりましては不偏不党かつ公正中立を旨とし、刑罰に触れる行為があれば、何人にたいしても法と証拠に照ら厳正に対処しているところでございます。
ある目的を達成するために刑罰法令に触れる行為を行うこと、これは法治国家においては許されないことでございます。警察といたしましては、そうした行為があれば、繰り返しで恐縮でございますけれども、法と証拠に照らしまして厳正に対処しておりますし、今後とも同様に対処する所存でございます。
■国会質疑:2010年5月14日 秋元司 (つかさ) 議員
2010年5月14日の参議院決算委員会において、秋元司議員が、「宗教団体に係る事件に対する警察の初動捜査の在り方」 について質問し、これに対し、中井洽国家公安委員長は、次のように答弁している。質問は、具体的には、「成人した子供が、棄教目的で監禁された場合、警察はどう対応するのか」 という内容だ。
★中井洽国家公安委員長の返答
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/174/0015/main.html
(その質疑全文は、この記事の最後に、まとめて掲載)
身体的に自由を束縛されている、あるいは暴力的な行為があったということであるならば、親子といえどもこれはやはり介入せざるを得ないんだろうと考えております。
お子さんが社会人として一本立ちをされている、親から経済的援助も受けずに自立してやっていらっしゃるという場合のそういう困難であれば、私はやはり両方を離すということが大事だろうと、離すと。その場合に、先ほどのDVのときもそうでありますが、警察等では一泊か二泊ホテルへお泊めするという手法を取っているわけでございます。したがって、一度そういうところへ落ち着いていただいて、もう一度冷静にお話を警察も聞かせていただく。
■完全に無視された警察庁長官と、国家公安委員長の答弁内容
S夫妻拉致事件では、警察の関与は3回ある。1回目は、妻のSさんが、監禁マンションに連れ込まれる時の叫び声で近所の人が警察を呼んだ時だ。警察は、彼女の父親、高澤牧師の話を聞き、Sさんを救出しなかった。2回目は、妻のSさんが、救出依頼の E-Mail を仲間の信者(広島)に送った時だが、この時も、警察は、父親や、高澤牧師の話を聞き、"問題はない" との結論を出した。
警察は、2010年5月14日の中井治国家公安委員長の答弁通りに、"双方を離し"、双方から事情を聴取しておれば、S夫妻は、その場で解放されていたはずである。それどころか、その場で、"逮捕・監禁罪" で現行犯逮捕もできたはずである。幸いにも、5日後に、本人が直接に、警察に緊急通報を入れることができたので、救出されることになったが、もし、それがなければ、今も、監禁状態が続いていたかもしれない。
「親子あるいは親族であっても、すべての国民は法のもとに平等であり、警察の債務の遂行に当たっては、不偏不党かつ公正中立を旨とし、刑罰に触れる行為があれば、何人にたいしても法と証拠に照ら厳正に対処している」 とか、「身体的に自由を束縛されている、あるいは暴力的な行為があったということであるならば、親子といえどもこれはやはり介入せざるを得ない」 「両方を離すということが大事」 という、国会での、警察庁長官や、国家公安委員長の答弁が、空 (むな) しくなる。
■人権迫害に加担する千葉県警
石橋正人君は、2014年1月に行方不明になり、今も、連絡が取れないままである。事前に、弁護士に救出依頼を出していた点、GPS 装置から発信された緊急信号等、尋常ではない点が多いにも関わらず、千葉県警は、一方の意見のみ聞き、石橋正人君に対し、直接に彼の意思を確認することを拒絶している。S夫妻の、1回目、2回目の警察の関与とまったく同じである。2010年5月の中井洽国家公安委員長の国会での返答に、完全に背いている。
2014年2月には、訪日した「国境なき人権」 フォートレ代表が、千葉県警に出向き、「彼の意思を直接に確認するよう」 要請しているが、完全に無視された。2014年3月と4月には、統一教会の魚谷俊輔氏が、上記の中井洽国家公安委員長による答弁に言及したが、警察は、「委員長の答弁は知らなかった。警察は、適切に対処している。これ以上、この質問には答えられない」 と答えた。
参考リンク: 「国境なき人権」怒りの反論 (中) - 監禁擁護の千葉県警
■証拠保全のため、家宅捜査をしなかった荻窪警察
「拉致監禁被害者後藤徹氏の裁判を支援する会」 のブログにて、裁判資料が公開されているが、後藤さんの刑事告訴で起きた興味深い内容が明らかになっている。警察は、監禁の重要な証拠となるはずの、後藤さんが監禁部屋に残してきた小型ノートの証拠を確保するための家宅捜索をしていない。
★後藤徹裁判 控訴審 陳述書(控訴2)
http://antihogosettoku.blog111.fc2.com/blog-entry-284.html#more
私は荻窪フラワーホームから解放された際、突然、力ずくで荻窪フラワーホームから追放されたため、その小型ノートを確保して脱出することができませんでした。しかし、このノートは、犯罪の立証に直接役立つものだと思いましたので、被告等を刑事告訴した際、添付資料1の書面を警察に提出して、ノートがあった場所を警察に知らせたのでした(しかしながら,警察は一切家宅捜索を行わなかったのでした。)。
これだけの例があると、まるで、日本警察が、組織として、2000年の警察庁長官の答弁、2010年の国家公安委員長の答弁を完全に無視し、人権侵害に加担しているかのようである。
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以下は、秋元司議員の、拉致監禁問題に対する質疑応答の全文です。資料として、ここに全文コピーしておきます。必要な時に読んでください。
★2010年5月14日、参議院決算委員会 秋元司議員の質疑応答部分の全文
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/174/0015/main.html
(左端メニューの 平成22年5月14日 - 第9号 をクリック。カラーは、私による)
○秋元司君 自由民主党の秋元司でございます。決算委員会、久方ぶりの質問をさせていただきたいと思います。
まず、冒頭に申し上げさせていただきますが、参議院、非常に決算重視をこれまで行ってまいりました。千葉大臣におきましては、同じ参議院でありましょうからよく御承知いただいていると思いますが、我々の思いとしては衆議院に対する参議院の決算、もうこれは衆議院の優越を超える非常に参議院にとってはすばらしい私はこれまでの活動であろうかと思っています。まさに、この参議院が決算重視をすることが、二院制の存在意義というものをしっかり我々も堅持し、そしてまたこれを担保する大事なものだと思っていますので、どうぞ関係大臣におかれましては、予算委員会に匹敵する、そういった思いでもってこの委員会、臨んでいただきたいということを冒頭申し上げさせていただきたいと思います。
さて、今日は法務、警察、そしてまた文科の分科会に近い形での決算委員会でありますけれども、今日は私のテーマは、我が国の治安を維持して、そして、それぞれの人々の基本的人権を守るために日々活動していただいている警察並び法務関連の質問をさせていただきたいと思います。
特に、最近警察におきましては、警察の初動捜査というものが非常に大きなテーマとなってきております。過去にいろんな迷宮入りした事件であるだとか、今になって改めて捜査の不手際というものが、これは不手際と言っていいかどうか分かりませんが、結果的に失敗が伴って冤罪等も発生するケースもあり、そしてまたその捜査の失敗によって結果的には時効になってしまったようなこともあり、やっぱり捜査をする段階の中で、事件が起きたときに一番早く現場に駆け付けてどういう対処をしていくかというのが一番私はこの捜査においては大事なことであろうかと。
そういった観点から、何点か質問をさせていただく中にこの捜査の在り方、これについても少し今日は踏み込みをさせていただきたいと思いますけれども、事件にはいろんな形、またいろんな種類がありましょうから、何か具体的にテーマを絞っていかないとなかなか議論がかみ合わなく、そしてまた時間についても膨大な時間が掛かってしまうということなので、ちょっと今日はテーマを、宗教ということについて少しテーマを絞らせていただいて質問をさせていただきたいと思います。
現代社会におきまして、今現在におきましてどれだけの宗教団体があるのか、そしてまたそれぞれの宗教がどういった活動をしているのか、残念ながら私自身はまだまだ勉強不足でありますからほとんど知り得ませんが、基本的に我が国は信仰の自由があって、そしてそれぞれの団体が社会の秩序を乱すような行為をしない限り活動は保障されているでありましょう。ただし、一般的にはなかなか私も含めて余り理解をしていない部分があるんで、それぞれ風評被害に遭うというような、これはお互い宗教団体も又は信者も、またそれを支える家族も含めてそういった被害に遭っているのも事実でありましょう。
そういった中において、やっぱり行き過ぎた布教活動もあれば、そしてある意味宗教に対して、例えば自分の子供がある宗教団体に入ることによって非常に親としては心を痛め、それを脱会のための説得行為を行うことによって、これがまた、行き過ぎた説得行為を行うことがある意味人の人命を奪うということにもつながっているというのも何か事実であるようではございますから、そういった観点から、今日は親子間、そしてまた夫婦間、親族間での宗教団体からの脱会を促すための説得行為の許容範囲ということについて少しお伺いをさせていただきたいと思います。
いろいろとそれぞれの思い、立場で宗教団体も活動をされ、そしてそれを今信じて入信しその会に入っている方、それぞれの思いであると思うんですが、なかなか先ほど申し上げたように一般的には理解され難いということもあって、特に宗教に興味を持っていない親からすると、子供がある特定の団体に、宗教団体に入信することによって非常に心を痛めて、そしてその結果、何とかこの宗教から脱会をさせるためにいろんな説得行為を行うということがいろんなところで行われているやに聞きますけれども、基本的にやっぱり私はそういった行為に対して親の立場というものも重視をしてみたいと思いますし、そしてまたその宗教活動している子供さん自身の、何といいますか、宗教の自由並びに基本的人権という立場もやっぱりこれは堅持をされなくちゃいけないことであろうかと思います。
そういった中において、警察が捜査を行う、そういったことに陥る行為というのは、何といっても行き過ぎた布教活動又は行き過ぎた脱会への説得行為、こういったもののエスカレートが警察が動くということにつながっていく中で、仮に一つの例としますと、脱会させるために、先ほど申し上げた親子又は夫婦又は親族間であっても、行き過ぎた、和解交渉を行う中で拉致監禁というところまで発展をした場合、その通報が仮に警察に入った場合、警察としてはまず一義的にどのような対応を行っていくのか、この点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○国務大臣(中井洽君) お答えする前に、私ももう三十年近く国会に働かせていただいておりまして、初め半分ぐらいは民社党という党でございます。そのときのこの国会改革の案で、二院制をどうするかという議論が行われまして、当時の民社党の参議院議員から、参議院はもう予算も何もやらないんだと、決算だけ、その代わり年中やるんだと、いつでもだれでも呼び出して決算を徹底的にやると。こういう案が出されて、私は大変、目からうろこがということわざがありますが、そんな思いをしたことを覚えておりますし、いまだにそういう方向は賛成でありまして、参議院が今決算委員会を重視されてやっておられることに対して心から敬意を表したい、こう思います。
同時に、御指摘いただきました、警察の捜査のもろもろの中で初動の捜査が大事だという御指摘は誠にそのとおりでございます。この初動のときにずさんな捜査やあるいは鑑定やあるいは聞き込みをやりますと、本当に事件そのものの解決が困難になる。最近、そういった意味で少し失敗も幾つか私どもの耳に入っております。都道府県それぞれの警察の現場ですから、私どもは、各公安委員会を含めて、初動の態勢の在り方、人員の在り方、また科学的な捜査、それに伴う器具、配備、こういったものにも十分配慮しながら頑張っていきたいと思いますので、また御指摘のほど、御指導のほどをよろしくお願いいたします。
同時に、お尋ねの件は非常に漠然としたくくりになっておりまして、どうお答えしていいのか判断迷うところでございます。
どういう場所で説得が行われるのか、あるいはだれかが立ち会っておられるのか、あるいは信者である子供さんが未成年であるのか、二十歳を超えておられるのか。また、呼び出されるについて、暴力的なことで引っ張り出されたのか、あるいは御親戚のお誘いで素直に出られたのか、通知があったのはだれからだろう、心配した宗教団体の人だろうか、いろんなことが判断材料の中にあります。
しかし、いずれにいたしましても御通知いただいた以上、現場に出て、そして両方の話を聞くと、このことが一番大事なことであると考えております。私どもは、なかなか宗教という問題、また親族関係というところ、踏み込むことが非常に難しい今の警察の状況でありますが、いずれにいたしましても話を聞いた判断、これによって行動していきたいと考えています。
○秋元司君 漠然とした聞き方になっているので非常に大臣も御答弁にお困りになったんじゃないかと思いますが、基本的に私が今日質問申し上げることは、仮に信者の方が、年齢の話がございましたけれども、これは当然、成人、二十歳を超えた成人であって一人の一人格者として社会的に認められるという立場の人であることと同時に、先ほど拉致監禁という言い方をしましたけれども、拉致をされる、拉致監禁とみなされるということは、やはりそれなりの、変な話しますけれども、その当方がふだん自分が行き交いしている自宅であるだとかオフィスであるとか、そういったところじゃなくて、やはり監禁目的でしかるべき場所を確保して、そこは監禁目的のために場所を置いたということの中で行われる行為だということを、冒頭これは指摘をさせていただきたいと思います。
立会いの問題に対しましては、これはまあいろんなケースがあるでしょうから今私は一概に言えませんが、いずれにしましてもその独立した個人が、自分の意思でもってもはや判断ができるという立場の人間が信者という立場で、そして親としてはやはりなるべく自分の、親の範囲の中で子供を守りたいという多分思いがあるんでしょう、その中で脱会に対する説得行為を行う中でどの範囲まで許されるかという観点からの大きなくくりでありますから、そのことをちょっと私の、触れたい部分があったので改めてお話をさせていただきたいと思います。
それで、先ほど、今大臣がおっしゃいましたけれども、親子間又は夫婦間というのは非常に難しいというお話でありました。しかし、同時に言えることというのは、やっぱりこの国は法治国家であるということは多分これはもう御承知のとおりであって、これは親子間、夫婦間であったとしても、ある程度、余りにも一人の、一個人の人権が阻害されたというような状態であれば、さすがの警察としてもそれなりの行動を取らざるを得ない状況も予想されるのではないのかなと思うんですが、親子間、夫婦間であっても、今申し上げたように、先ほどの同等な強制捜査を伴うようなことを警察としてはやはり行わなくちゃいけないという判断があるのかどうか、ちょっとこの点だけ触れさせていただきたいと思います。
○国務大臣(中井洽君) 私自身は宗教的な問題で今先生のお話があったような事案があったという報告を、就任してから八か月ですが、まだ聞いておりません。しかし、今先生のお話を聞く範囲では、身体的に自由を束縛されている、あるいは暴力的な行為があったということであるならば、親子といえどもこれはやはり介入せざるを得ないんだろうと考えております。
同時に、今、警察にとって一番判断の難しいのは家庭内暴力、DV、この判断でございまして、現場の警察官が話を聞く、後からそのときに踏み込んで対応しておればあんな事件にならなかったんじゃないかというおしかりもいただいたり御指摘いただく事件も多うございます。一人一人の警察官が本当にこの話を聞いたときの瞬時の判断、これをどう訓練していくかというのに悩んでおりますが、つい最近、ある学者の方から、質問項目を作って、その質問項目にお答えいただいて、これが幾つ以上あれば、一遍家へ帰ってもう一度話し合ってみるとか、あるいは我慢してみるとか、もうそういうのをなしに無理やり隔離をして暴力行為から切り離すということを考えろということで御示唆を受けまして、今そういう項目が本当に有効に機能するのかどうなんだろうということの勉強を大至急いたしているところでございます。
○秋元司君 ありがとうございました。
それで、大臣の大体の答弁の内容は理解できるわけでありますけれども、やっぱりその現場現場によって、現場に駆け付けたその警察官がどういう対応をするのかというのが一番大事だというお話でありましたけれども、やっぱりそれは、基本的には、現場に急行するならば、現場に急行したときに、それなりの通報があったということは当事者それぞれ全員に対して本来話を聞くことからこれは初動捜査としてのスタートが始まっていくと思います。
そして、そういった捜査が行われる中で、当然親としては、自分の子供でありますから、先ほど申し上げた脱会に対する説得行為はこれはあくまで話合いですよという、親は気持ちはそうであると思います。しかし、言われる子供から見れば、拉致監禁状態までして親としては子供を外部と接触させたくないという思いの中で、拉致監禁状態、まあ拉致と言うまでは、監禁状態ですね、これを行っているわけでありましょうから、当然子供としては、いや、これは親といってもそれは余りにも行き過ぎで自分としての自由が奪われているという、そういう恐らく主張があるんでありましょう、通報があるぐらいでございますから。そういったときに、双方の意見が余りにも違う場合に現場の担当官というのはどちらに比重を置いて判断をするのか。その辺、具体的な例がないんで大変厳しい判断かもしれませんが、一般的な例としてお答えいただけますか。
○国務大臣(中井洽君) 今の想定をいただいている範囲で、お子さんが社会人として一本立ちをされている、親から経済的援助も受けずに自立してやっていらっしゃるという場合のそういう困難であれば、私はやはり両方を離すということが大事だろうと、離すと。その場合に、先ほどのDVのときもそうでありますが、警察等では一泊か二泊ホテルへお泊めするという手法を取っているわけでございます。したがって、一度そういうところへ落ち着いていただいて、もう一度冷静にお話を警察も聞かせていただく。
今私どもが指導をいたしております一番の重点は、とにかく、そういう話合いやら物事が起こって現場へ駆け付けて警察官が入って一応その場は収まったとする。そうすると、これが上司へ報告されないときがあるんですね。小さなお子さんの家庭内暴力含めて、もう相談があったときには必ず上へ上げろと。署長がきちっと責任を持ってその文書を見る、そして本当にそういう処置でいいのかどうかということを相談させる、こういうことを今徹底をさせようといたしておりますので、多分今の件もそういう対応で対処をしていくんだろうと思っています。
○秋元司君 非常に適切なお話であろうかと思います。やはり双方の言い方が違う、それぞれの思いの中でお互い違いが発生しているんでしょうから、やはり二人を一回離して、それぞれの立場で話を聞き、それに基づいて本当に行き過ぎた行為があると判断されたならば、それなりの警察は措置を、対処をしてもらう、これしか私は今の法治国家の中では道がないのかなと、私もそのように感じてございます。
まさにそういったことを警察が対処していただいたならば、次善の措置でありましょうから、これが大きく、人命が失われるだとか、またこれがもっと騒動となってお互いが更に暴力的なことにエスカレートする、そういったことにはつながっていかない。私は、これは防衛策になるんじゃないかなと思いますので、引き続き警察として是非これは徹底していただきたいなと、そのことを私は改めてお訴えをさせていただきたいと思います。
そして、今日、千葉大臣にもお越しいただいておりますけれども、現在、人権擁護局の調査・救済の一般手続、これについてお伺いしたいんですが、基本的にはどのような手続があるのか、一般論としてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(千葉景子君) 法務省の人権擁護機関でございますが、人権侵犯事件調査処理規程というものがあり、それに基づいて人権侵害の疑いのある事案について人権侵犯事件の調査・救済活動を実施をいたしております。
これ具体的には、申告があり、そして調査をし措置をとると、こういう流れになるわけですけれども、被害者から申告を受けた場合には原則として救済手続を開始を、スタートいたします。やること、やれることは、関係者に対する事情聴取等の調査、それからその調査を踏まえて関係者間の関係調整、あるいは被害者の関係行政機関等への紹介、あるいは法律上の助言等の援助、それから人権侵犯性が認められた場合には加害者への説示、勧告など、事案に応じて措置を講じているということでございます。被害者からの申告のほかにも、関係行政機関から情報提供や第三者からの通報というようなこともその端緒としてはございます。
○秋元司君 これも先ほどの警察の方にお伺いしたことと同じように、やっぱり夫婦間であっても、親子間であっても、人権侵害の相談が来ればすべて調査対象に入るという御判断でよろしいですか。
○国務大臣(千葉景子君) 基本的には、申告がございますれば原則として調査スタートをするということでございます。
○秋元司君 私も細則をちょっと拝見させていただきましたけれども、ここに一つ、細則の中に規定があって、事件後一年を経過した事件については調査は行わない旨の言及する文書があるんですけれども、その理由と、そしてまたその解釈と、そしてまた例外規定というものがあるのかどうか、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘のとおりでございまして、この細則に、一年以上経過したときには申告があっても、手続を開始することの例外を設けております。
ただ、一年以上前の事件というのは、やはり証拠とか事情を理解するための資料等がだんだん散逸をしたり困難になっていると。そしてまた、人権擁護機関での救済というのはできるだけ行政的に簡易迅速に救済を図ろうというものでございますので、一年以上前の事件ですとなかなか、今お話を申し上げましたように証拠とか裏付けが難しく、簡易迅速な救済を図るというのが難しいと、こういうことがありまして、一年という一つの期間を設けているというふうに理解ができると思います。
ただ、これについて全く、一年以上経過したものは全く例外なくもう手は出さないのかということでございますけれども、調査処理手続について定めたこの細則でも、被害者申告が、規定はしておりますけれども、全く例外がないということではございませんので、ここは事案によってということになろうかというふうに思います。
ただ、基本的に、原則としては一年以上たったものについて審査はスタートしないということになります。
○秋元司君 やっぱり例外に付いている解釈というのが非常に大切な部分があると思うんですね。
例えば、人権侵害と疑われることで、そういった事件に巻き込まれた人であれば、確かに事件そのものは一年前に終わっているかもしれないけれども、その間、実はこういった、警察も含めたそういった人権擁護局にもし通告したらまた更に一層ひどいことをするといったような脅しを掛けられているケースもしかり、そしてまた、そこで受けた様々な心理的な被害でもって一年間自らが外で活動をすることが、また通報活動をすることができないほどストレスを感じてしまった、そういったケースもあって、結果的に通報が一年後になってしまうということはあるかもしれないと私は思うんですが、そういうところに対する対処としては、どのように対処されるんですか。
○国務大臣(千葉景子君) 多分そういうケースというのは、一年以上、じゃ、事が起こったところから経過しているというふうに解釈するのか、あるいは、ある意味では侵犯という事実が継続しているというふうにも私は解することもできるのではないかというふうに思います。そういう解釈を取れるとすれば、まだ一年を経過していない、申告があったということで審判をスタートするということも可能であろうかというふうに思います。
そういう意味では、置かれた状況等を十分に踏まえた例外の規定の適用ということが大事なのではないかというふうに思います。
○秋元司君 基本的に、人権擁護局が行う行為の中では、最終的に警察ないし、又はもう告訴されて裁判中であるということについては多分人権擁護局としては余り踏み込めない立場であると思うんですね。というのは、そういった最終的な司法の判断が出される前にこの人権擁護局でそれなりの仲介を取るというのが人権擁護局の立場であるという私の理解なんですけれども、その解釈でよろしいですか。
○国務大臣(千葉景子君) 基本的に私もそう理解をいたしております。やはり、司法を補完するというような形になろうかというふうに思いますし、行政的な措置ということもあり、あるいはその権限から考えても、最終的なやはり決着にはなかなかこの手続だけでは十分に対応し切れないということもございます。
ただ、先ほど申し上げましたように、行政的にできるだけ簡易そして迅速に当事者の納得の上で人権救済を図ろうということでございますので、先生の御指摘の考え方だというふうに言えると思います。
○秋元司君 実は、いろんな私も陳情をいろんな各所からいただきますけれども、大体人権擁護局に相談へ行くケースというのは、何といいますか、警察には大変申し訳ありませんけれども、被害者意識を持って訴えられる方は訴えられるんでしょうけれども警察がなかなか取り扱ってくれないとか、弁護士の方に相談へ行ってきても余りいい回答が得られない、そういった方が最終的に行政に頼る形で人権擁護局に行くというケースが結構あるようにも聞いているんですけれども、そのときに、今まさにおっしゃったことからしますと、人権擁護局というのは司法へ橋渡しをする役目の一端も担っているんじゃないかなというふうに思うんですが、仮に警察がそのときの警察の判断で告訴も告発も受理しないだとかいろんなケースがあったときに、この人権擁護局というのはそれなりに調査をして、これはしかるべき人権侵害が行われて、それによって多くの被害が出るかもしれないと判断したときには、それは警察が受け付けないという状態であったとしても、人権擁護局としての判断でしかるべく司法にしっかりと橋渡しをするということはされる行為に当たるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(千葉景子君) 多分警察の対応というのは、それが犯罪等に該当するかどうかという、そういう観点の御捜査だというふうに私も思います。
そういう意味では、それでなかなか取り上げられないとしても、それぞれの人権を何とか尊重し、そして守っていこうという観点からすると、必ずしも犯罪ということではなくても、人権侵害という申立てがあり、そして最終的に司法で救済を図ることがやはり最終的な解決であろうというそういう問題については人権擁護局において調査をし、そして必要であれば司法への橋渡しをしていくということがやはり役割だというふうに思っております。
○秋元司君 是非、それぞれ警察の立場、それぞれ法務省の立場、あると思いますが、そういった皆さんの活動があるからこそ我が国の治安というものがしっかり維持され、そしてその結果、それぞれの人権というものが尊重され、社会の秩序というものが成り立っていると思いますので、これは引き続きしっかり行政のトップとして末端の職員にまでこの意識が行き渡るよう努力をしていただきたいなと、そのことをまとめてお願いを申し上げるところであります。
実は、今日この質問を私がさせていただく、宗教というものに対して私が一番最初関心を持ったのは、これはもう破防法が適用されて実際は教団としては解散に追い込まれたある宗教集団、それが我が地元に来る中で、住民の皆さんと一緒になってその教団に対して抗議をし、そして実際問題、出ていってもらったという、これはもう自治体と一緒になってやった我々の経緯があります。それから宗教というものに対して私自身も、ある意味もっともっと勉強していかなくちゃいけないのかなということを思ったのが一番のきっかけでありました。
しかし、世の中をよく見てみますと、何が何でもすべてが宗教は当然悪じゃなくて、ほとんどの宗教団体というのは、それぞれの目的を達成するためにそれなりの思いで活動されているというのがあるということを、私自身もこの立場になって改めて勉強をしながら感じているところでございますから、やっぱりそれぞれの立場というものを守り、そして、それぞれの親の気持ちも当然それは分かり、そしてまた、信者として入信し布教活動をする方の立場もしっかりこれは守ってあげなくちゃいけないというのが、今、日本の法治国家である務めなのかなということを感じる中で、実は、この質問をするというときに、多くの関係の皆さんとちょっと私はヒアリングさせてもらいました。
そうしたら、何か急にアメリカの上院の方から手紙をもらいまして、上院、下院の皆さんから連名で手紙をもらって、日本には余り信仰の自由というのが認められていないんじゃないかという、そういった手紙が来たんです。なぜそういったことがあったのかというと、先ほど申し上げた親が子供を思う気持ち、これは私は非常に理解ができますけれども、それが行き過ぎた行為が、この脱会に対する行為が行われることによって人の命がなくなったり、それが強いて言えば多くの社会不安にもなっているんじゃないのという、そういった手紙が私のところに来ました。
実際問題、本当にそうなっているかどうかということは、私自身も直接目で見てすべてを確認しているわけじゃないので分かりませんが、もしそういうことが仮にあるとすれば、もっともっと我々はそのことについてはやっぱり努力をしていかなくちゃいけないのかなということにもなりますし、ある意味、その行き過ぎた行為の中で、ある宗教団体の皆さんの一部の人にとっては、何かもう日本にいるのが怖くて海外に住んでいて、そして日本に戻るのが怖いから何とかしてくれないかという声もあるようにも聞いております。
そしてまた、親が子供を脱会させたいという思いの中で、実は第三者が介入するというケースが結構あるらしいんです。それが、いわゆる脱会のためのコンサルタントをしている人たちも結構いるみたいで、この方はこの方で結構多額な請求をしたり、行き過ぎた脱会行為をさせることによって余計混乱させ、家族間に大きなひびを与えるということもあるようにも聞いております。
私は、この信教の自由と、そして親が子供を思う気持ちというのは、両方とも価値としては、価値というか思いとしては同等のものであるというものの中に、しかし、それぞれ行き過ぎというものをやっぱり抑えていく中では、警察が又は法務省がそれなりの対処をしていただくことがある意味健全な社会を実現していく。そしてまた、信教の自由と、そして基本的人権の尊重、そしてまた、ひいては親子関係をしっかりと関係修復に持っていく、そういったことに私はつながっていくと思いますので、これはこれとしてしっかりまた法務省、警察の方には頑張っていただきたいということを申し添えさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
以上です。
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本当に虚しいです。
って言うか、警察庁長官をはじめ、日本の為政者たちはどいつもこいつも意気地無しです。事なかれ主義ですから、虚しさを超えて、最初から期待はしていませんよ。
どんなに美しい答弁をしたからといっても、実際は何もやりませんから〜。
これが日本という国の現状です。
踏み絵、宗門改め、キリシタン狩りを政府(幕府)を挙げてやる国ですから、多くは期待できません。
警察当局の醜態をこうして時系列で羅列されると、とても良く分かりますね。
この度のブログ記事は拉致監禁撲滅史において、尊いドキュメントになると思います。