★「悪の選択」論 (Choice of Evils) とは?
http://humanrightslink.seesaa.net/article/194602114.html
「倉庫でティーンネージャーの男の子が死体で発見された。彼の母親アリソンが疑われた。アリソンの元夫(少年の実の父親)は、刑務所暮らしをしている。アリソンの現在の夫が逮捕されたのをきっかけに、彼女は息子を殺害したことを認めたが、彼の実の父親が凶悪人物であり、そのようになる可能性のある息子の犯罪行為から人々を救うためだったと主張した。検事は、田舎に住むパーフェクトな母親を、有罪判決にもっていくのに苦労する。」
ここで、母親が使った理論が、悪の選択防衛理論である。上記の赤字部分である。アメリカの刑事事件ではよく使われる手法である。上のテレビ番組の場合だと、その母親が、いつもはパーフェクトな母親であり、そして、元夫(少年の父親)が、極悪非道な犯罪人であり、そして、少年の行動に異常だったり、過激な点があれば、説得力はより強くなる。
母親は息子を殺したが、その行為は、息子が起こすかもしれない犯罪行為を防ぐためであり、被害者になるかもしれない人々を守るためと、殺人行為を正当化した。
「『より大きな悪』 を防ぐための行為だから、どうか許してね!」 と、自己正当化しようとするのが、「悪の選択防衛理論」 である。悪の選択論は、アメリカではどのようにディプログラミング(拉致監禁・強制脱会)裁判に使われたのか? そして、日本では、どのように使われているのかをみていきたい。
アメリカでは、ディプログラマー(強制脱会説得者)が、訴えられた時、自らを防衛するために使われた。以下は、当ブログの以前の記事、 「悪の選択理論 – 犯罪者が自らを守ろうとする防衛理論」 からの引用である。
★アメリカ・ディプログラマー裁判での 「悪の選択論」
http://humanrightslink.seesaa.net/article/194602114.html
では、悪の選択理論は、アメリカのディプログラミング裁判ではどのくらい効果があったのだろうか?
ディプログラマーが刑事事件、あるいは民事裁判で訴えられたとする。まず、公判では、その教団の不正・搾取・反社会的行動を効果的に述べ、そして、彼ら(ディプログラマー)は、そういう悪の集団から信者の救出のため、彼らにより悪の行為をさせないために、彼らの将来のためを思い、行動を起こしたのだと主張する。
この論理に多くの陪審員も裁判官も納得し、ディプログラマーに有利な判決が下りた。中でも代表的なのが、1978年ピーターソン裁判(ミネソタ最高裁)である。「子供をカルトから救出する時は、子供の行動の制限は監禁にはならない。」と判決を下した。ディプログラマーがお墨付きをもらった裁判だった。
http://humanrightslink.seesaa.net/article/177968999.html
1989年のアドルフソン裁判第一審 (刑事裁判) では、悪の選択理論の巧妙さに陪審員は、ディプログラマーに無罪判決を下した。
しかし、永久には「悪の選択理論」は通用しなかった。アドルフソンの上告裁判では、「将来の訴訟においては、悪の選択防衛理論は除外するすること」を決定し、「ここで、私たちは、その教会に在籍することが彼女への重大な損害・被害のおそれがあったと被告が関知したとしよう。被告が追求した救済方法は(刑事法違反 であることを知りつつ)、危険の迫っている損害・被害を避けるため、最も害の少ない方法だったということを、被告は示すことができなかった。」と述べた。
http://humanrightslink.seesaa.net/article/182304325.html
1990年には、アメリカでは、「悪の選択理論」では、ディプログラマーを防衛できなくなってしまった。それから、数年の内に、ディプログラミングに壊滅的打撃を与えるジェイソン・スコットの裁判が始めることになる。
「悪の選択」理論は、犯罪行為を犯した人が、その行為の正当性を主張するものである。と、いうことは、その行為自体(誘拐、監禁等)は認めていることである。
★アメリカでの、拉致監禁・強制棄教裁判での、「悪の選択理論」の使われ方:
1. 対象となる教団の反社会性、犯罪性を効果的に訴える
2. 暴力的手法を用いたことは認めるが、「悪の選択論」を用いて、「誘拐」 を正当化し、無罪を主張
3. 1989年までは通用したが、アドルフソン判決以降は、通用しなくなった
日本では、拉致監禁擁護グループ、反統一教会グループの中で、どのように「悪の選択論」が使われているのか?(ここでは、単純な反統一教会グループの主張とみていただければ、OKだ。法廷での使われ方は、多少、変わって来るので、それは、また時間のある時、後ほど。)
★日本の反統一教会グループによる 「悪の選択論」 の使われ方:
1. 対象となる教団の反社会性、犯罪性を効果的に訴える
2. 「保護説得」 という言葉を使い、「悪」 の教団からの救出を正当化する
3. この考え方は、「カルト新聞」 や、反統一教会グループでは、今でも、好んで使われている
私は、これを、「日本版 悪の選択論」 と呼ぶことにする。アメリカ版と違うところは、「日本版 悪の選択論」 では、拉致とか、誘拐行為を認めようとしないところだ。その点では、アメリカの、ディプログラマーは、正々堂々と自分を主張をしたが、日本の彼等は、「保護説得」とか、「本人の同意の上での話し合い」とか主張し、拉致行為、監禁行為、暴力行為があったことを認めない。
★「日本版 悪の選択論」 の、具体的使われ方:
このブログに最近、時々投稿してくださる matu8181 さんは、次のようにコメントしている。
http://humanrightslink.seesaa.net/article/389206993.html#comment
明日から、麻薬の密売人組織の構成員に成るという人を、家族、親族が脱会説得をしない方が人としてマトモでは無い。皆さん脱会説得するでしょう。
Posted by matu8181 at 2014年03月01日 05:51
http://humanrightslink.seesaa.net/article/388197911.html
アメリカの統一信者が反社会的行為を進んで行っていません。裁かれる行為をしたのが教祖とその家族ぐらいでしょう。反社会行為を教祖に言われるままに行う集団と同じではありません。
Posted by matu8181 at 2014年02月17日 12:08
matu8181 さんの主張は、「(日本)統一教会は、反社会的行為を行う団体だから、家族・親族が脱会説得を行うのであり、それゆえ、脱会説得は正当化される。悪いのは、統一教会だ。」と、いうことだろう。しかし、この記事 「日本版 悪の選択論」 を書こうと、ひらめいたのは、上記の matu8181 さんのコメントを頂いたおかげである。
★「カルト新聞」 のエイト君の主張
[オピニオン]統一協会“拉致監禁キャンペーン”の実体。『高度危険者』とは? (2012年3月23日付)
http://dailycult.blogspot.com.au/2012/03/blog-post_23.html#more
記者 (注:エイト記者) は、本紙 (注:カルト新聞) コメント欄に於いて、統一協会の “拉致監禁キャンペーン” を 『誘拐犯が救出された人質を 「誘拐された」 と言っているようなもの』 『泥棒が押収された盗品を 「盗まれた」 と言っているようなもの』 と評したのは、そういうことだ。
この部分は、彼の熱心が読者が、書き込んだコメントを、エイト君が紹介した部分であるが、エイト君と同じ考えだから、紹介したものと理解する。対象の教団を、 「誘拐犯」 「泥棒」 と、名指ししているが、もし、そうなら、刑事告訴すべきであって、その結果をもって、「誘拐犯」 「泥棒」 と書くべきであろう。もし、仮にそういう事例があるとするならば、対象が誰であれ、「悪いことは悪い」 という立場に立って考えるべきだ。
対象を、「誘拐犯」 「泥棒」 と名指しして、保護説得(拉致監禁)を正当化することは、「悪の選択論」 の改変型である。 要するに、日本版 「悪の選択論」 は、対象の教団や団体の、反社会性や、反社会的行為に重点が置かれ、それゆえ、「信者を教団から隔絶させて、自由のない環境下で、話し合いをする」 と、いうことは、許容されるという考えになる。しかし、表向きは 「話し合い」 という名目だが、実質は、個人の意思に反する拉致・監禁、そして、そのような自由を剥奪された中での、強制的脱会説得である。
エイト君をはじめとする、反統一教会グループの人々は、「日本版 悪の選択論」 と、「拉致監禁キャンペーン論」をうまく組み合わせながら、保護説得(拉致監禁)を正当化している。この彼等の二つの「理論」 を頭にいれておけば、反統一教会グループの、拉致監禁問題に対する主張を、より明確に、理解することができるはずだ。
------PR------
「日本版 悪の選択論」は、
暴力行為の存在を認めない。
ちょっとずるいよね。
クリックお願いします。
↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村
###
YoshiさんClever です。
----------------------------------------
http://antihogosettoku.blog111.fc2.com/blog-entry-253.html
「後藤裁判を支援する会」 のブログ 「拉致監禁by宮村の裁判記録」より、
控訴審期日決定!!!!
控訴審期日決まりました。
6月5日(木)午後2:30 824号法廷です。
控訴審期日に先がけて提出する「控訴理由書」の期日は4月1日です。
今、控訴理由書とともに併せて提出する証拠(陳述書等)を大急ぎで作成している真っ最中です。
控訴審は短期決戦のため、一発目にガツンとインパクトのある書面(証拠)を提出するのが重要で、今が勝負どころです。
一審以上の判決を勝ち取るために!!!これからも後藤徹氏の応援をよろしくお願いいたします。(引用おわり)
この理屈はわからないではありません。
<明日から、麻薬の密売人組織の構成員に成るという人を、家族、親族が脱会説得をしない方が人としてマトモでは無い。皆さん脱会説得するでしょう>(matu8181 さん)
脱会説得の必要性を訴えているわけですね。
無関係な第三者が聞くと、うん、うん、とうなづきそうな話ですね。
ただ、問題は、そのために何ヶ月も何年も閉じ込めて良いのか、ということです。
<表向きは 「話し合い」 という名目だが、実質は、個人の意思に反する拉致・監禁、そして、そのような自由を剥奪された中での、強制的脱会説得である>
そう、ここに問題があるのです。
統一教会批判は大いに結構。でも、成人した子供を長期間、閉じ込めて、多勢に無勢で、よってたかって脱会をせまるという行為がいいのか、って。
統一教会=「より大きな悪」と言いますが、人を監禁する行為、そして、「監禁してません」ってしらばっくれることのほうが、よほど悪です。悪質です。
まあ、被告側弁護士はもはや「悪の選択論」は主張できないでしょう。控訴審でも。
だって、話し合いを続けた、というより、原告は居座っていた、という論法に摩り替えちゃったんだから。
私の主張は、、
(日本)統一教会は、反社会的行為を行う団体だから、家族・親族が脱会説得を行う行為は理解も出来る。脱会説得も違法でもない。拉致監禁は違法。訴えが有ったので裁判所が判断して決める。結審したら広く社会に適用されるから知っておくと心当たりの有る人には参考になる。
後藤君が敗訴しようがしまいが、関係なく
「10年以上もの長期間にわたり,その明示の意思に反してその行動の自由が大幅に制約し,外部との接触が許されない環境下に置き,その心身を不当に拘束し,棄教を強要したらいけません。」と言う事です。
殺人、監禁は話にならない犯罪ですが、『みんなに迷惑をかけないように』という理由で人の心を拘束することはないのか・・・線引きが難しいけれど日々自分の心に問いただすべき問題だと思いました。心の指標がさらに明確になりました。ありがとうございます。