2014年01月25日

後藤裁判の判決を前に

火曜日、2014年1月28日は、後藤徹氏の裁判の判決日である。2ヶ月ほど前、このブログの「アメリカのディプログラミング:3つの重要裁判」という記事で、アメリカの3つの裁判を紹介した。アメリカの裁判の歴史で、一時的には、ディプログラミングを助長するような判決 (ピーターソン裁判) が出る中で、決定的な判決 (スコット裁判) が出るまでの過程を説明した。

後藤裁判の判決 (2014年1月28日) が、日本の拉致監禁を終わらせることのできる決定的な判決になるのかどうか、それは分からない。もし、たとえ、後藤裁判の判決が決定的なものにならかったとしても、拉致監禁の完全な終結に向かう重要な一局面になることは間違いないだろう。

アメリカの3つの裁判を、再度紹介し、アメリカと比較して、後藤裁判も含めて日本の拉致監禁裁判を3つほど紹介し、今回の後藤裁判が、日本の拉致監禁の裁判の歴史のでどのあたりまで来ているのかをみていきたい。http://humanrightslink.seesaa.net/article/381139822.html

ピーターソン裁判:
1980年、ミネソタ州最高裁判所は、「カルトから子供を救出する時、子供が一時期でも監禁に同意したら、子供の行動の制限は重大な自由の剥奪にはならない」との判断を示した。この判決は、ディプログラマーにお墨付きを与えてしまった。


エイラーズ裁判:
民事裁判で、被告側は、ピーターソン裁判の判決を用いて「両親の代理人として、責任は免除されている」と主張したが、判決(1984年)は、「被告が実際のところ、監禁されていたというのは、疑いの余地はない。原告の見かけの同意は、不法監禁に対する防衛にはならない。多くの人は、似たような状況では、監禁犯への恐怖から、または、逃走の手段として、同意したふりをするだろう。」と、原告は、損害賠償を勝ち取った。エイラーズ裁判により、ピーターソン判決は無効にされた。


スコット裁判:
1995年、民事裁判にて、原告のジェイソン・スコットは、損害賠償金として、5億円弱を勝ち取り、結果として、アメリカのディプログラミングは、終わることになる。ピーターソン裁判の判決から、15年かかったことになる。



日本の拉致監禁裁判は、すでに拉致監禁を終結させたアメリカから見たら、今、どのあたりなのか?

ミツコ・アントール裁判:
http://www7.ocn.ne.jp/~murou/scope/scope1/mituko-1.html
2002年3月、東京地裁は、「(両親は)前後2回にわたって、原告美津子に対し、『話合い』の場所に同行するように求め、原告美津子が同行に同意した」として、両親らによる「拉致」を否定した。


今利理絵(イマリ・リエ)裁判:
http://www7.ocn.ne.jp/~murou/scope/scope1/imari-wakai.html
http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/110223.html
2004年一審と二審とも、「損害賠償をもって償わなければならないほどの違法性を帯びた『逮捕、監禁』『脱会強要』には当たらない」 と認定し、原告は敗訴した。原告は最高裁へ上告、2006年、最高裁は異例の和解勧告を行い、家族間で和解が成立した。裁判長は、両親らに「二度と、自由を拘束することはしないように」 と説示した。

最高裁により、和解勧告がなされたことは、画期的で、意義深いことだが、被告が裁かれたわけではなかった。実際、和解が成立したのは、家族間であった。清水与志雄牧師、黒鳥栄牧師等は、和解の拒否と訴え取り下げの拒否という経緯をたどったために、牧師等に関しては、結果的に上告棄却となり、高裁判決が確定した。



ミツコ・アントール裁判は、「いやいやながらの同意でも、その同意があれば、拉致監禁にはあたらない」 との判決であり、まるで、アメリカのピーターソン判決のようである。

今利理絵裁判では、最高裁による仲裁があったものの、脱会説得牧師等の罪は問われなかったが、それまでの流れは変えた。アメリカのエイラーズ判決とは、「被告が裁かれたかどうか」 に関して誤差が出てくるが、「方向を変えた」 という点で、似ている。

後藤徹裁判:
今利理絵裁判の和解成立から、約2年後、後藤徹さんが、12年5ヶ月の監禁から開放された。拉致監禁に関する裁判で、後藤さんの前の直近のものといえば、今利裁判である。アメリカのエイラーズ判決では、被告は裁かれたけれども、今利裁判では、脱会説得者の牧師たちは裁かれていない。今利裁判で、やり残したことだ。

後藤裁判では、被告等、特に宮村峻氏と、松永牧師がどのように裁かれるかが、焦点だと思っている。ルポライターの米本和広氏が、その焦点を、最新のブログ記事で、うまくまとめてくださっているので、お借りしたい。

★「レベルが相当低い山貴&藤倉コンビ」 より
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-447.html#more
(1)後藤徹の12年間は監禁だったのかどうか。
(2)監禁致傷を認めるか否か。
(3)監禁だったとした場合、実行者は兄・兄嫁・妹だけなのか。宮村や松永はどうなのか。
(4)民法上の責任を認めるとした場合、損害賠償金はいくらとするのか。

この中で、特に私が関心があるのは、脱会説得者の宮村峻氏、松永牧師の拉致監禁への関与がどのくらい認定されるかということと、損害賠償金が中途半端な額ではなく、2億円の請求に対し、どれくらいになるのかということだ。この点が、満足できるものであれば、日本の拉致監禁を終わらせることのできる重大な判決になるものと信じている。

たとえ、私たちが満足できるような判決でなかったとしても、後藤徹さんが、民事裁判に訴えて、こうして、判決日を迎えることができたということは、それがどのような結果であったとしても、拉致監禁をなくしてゆく過程での、重大な事件になることには間違いない。

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posted by 管理人:Yoshi at 22:16| Comment(4) | TrackBack(0) | 後藤徹氏 民事裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
<私たちが満足できるような判決でなかったとしても、後藤徹さんが、民事裁判に訴えて、こうして、判決日を迎えることができたということは、それがどのような結果であったとしても、拉致監禁をなくしてゆく過程での、重大な事件になることには間違いない>

満足できる判決が出ると信じます。
この判決を機に、拉致監禁がなくなっていくと信じます。

追伸。判決当日、お会いできればと思っております。

Posted by みんな at 2014年01月26日 08:20
気持ちがたかぶって、目が覚めました。
私でさえこうです。
人の行為で
一番醜く人を傷つけるのは裏切りです。
拉致監禁は裏切りそのもの、より以上です。
戦場で信じている仲間に裏切られるとする。
でも、
裏切った人は 自分が裏切ったことを知っている。悪いことをしたと思っている。
拉致監禁をした人は
悪いことをしたなんて思いはしない。
悪いことをしているのはお前だと思っている。
監禁されたひとは自分に謝って、感謝して当然と思っている。
こんな裁判のさなか、また拉致監禁が起こる。
拉致する親は、本当の子供の幸せを考えているとはとても考えられないです。
少なくとも相手がいるなら結婚させてあげなさい。
Posted by Etsuko at 2014年01月27日 11:28
長い長い後藤さんの裁判の判決日が、いよいよ明日ですね。
ご本人はもちろん、拉致監禁被害者や、今でも監禁されるかもしれないと不安の中にいる人達にとっても、明暗を分ける、重要な日です。
どんな結果であっても、これからも拉致監禁の違法性、人権侵害に関して社会に続けて訴えていくことに変わりはありません。
Posted by 寺田こずえ at 2014年01月27日 23:11
昨日、早朝に成田に着きました。午後に、アメリカから来ているお二人と、荻窪から松濤二丁目まで、後藤徹さんが生死をかけて歩いた10キロの道のりを歩いてきました。おかげで、夜、10時頃には眠くなって、ぐっすりと休みを取りました。きょうの判決傍聴のため、いいウォーミングアップができました。

みんなさん、Etsukoさん、寺田こずえさん、コメントありがとうございます。午後には、東京地裁に向かいます。

Posted by Yoshi at 2014年01月28日 06:24
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