昨年(2012年)10月15日、宿谷麻子さん(享年48歳)が、クモ膜下出血で亡くなられた。明日は、彼女の一周忌である。
Ms Asako Shukuya
Photo from: http://kidnapping.jp/news/20121120.html
麻子さんの苦悩(拉致監禁による後遺症)、拉致監禁問題に対する姿勢と勇気、家族との和解等、以下のウェブサイト、ブログ、書籍を参考にして頂きたい。
★夜桜餡
http://www5.plala.or.jp/hamahn-k/index.html
★「火の粉を払え」訃報 - 麻子さんがなくなった!
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-372.html
★書籍:米本和広著「我らの不快な隣人」の第一部 麻子の物語
第六章 引き裂かれた家族(第六章のみウェブ上で紹介されています。)
http://kidnapping.jp/book/torn1.html
前回の記事で、拉致監禁被害者400名対象の学術調査についての財界にっぽんの記事を紹介した。その記事を、参考にしながら、「たとえ拉致監禁が終わったとしても、拉致監禁問題は終わらない」ということを、宿谷麻子さんの一周忌に書きたいと思う。
前回の記事で紹介した調査は、拉致監禁を受けた現役の統一教会員400名を対象に行ったものだ。その結果を、統一教会を脱会した人々までに、適応するのは無理があるかもしれない。しかし、統一教会を脱会した人々の後遺症に関する学術調査はなく、無理を承知で、話を続けさせていただく。
教会に戻った人たちは、同じ信仰の仲間や、同じ信仰をもった配偶者、あるいは教会組織からの理解・サポート(後遺症の出る割合低い)というのもあるかもしれない。しかし、その逆で、教会に戻った人々の中でも、その組織から、疎外されたり、冷たくされたり(後遺症の割合高い)、そういうケースもあるものと思う。
脱会した人たちは、同じ状況を通過した元信者仲間、家族、脱会説得者からのサポート・理解(後遺症の割合低い)もあるかもしれないし、その逆で、彼らと距離を置く場合(後遺症の割合高い)もあるかもしれない。米本和広著「我らの不快な隣人」には、拉致監禁により脱会した麻子、美佐、裕美という3名の女性が出てくるが、3名とも激しい後遺症に苦しんでいる。
なので、現役であろうが、元であろうが、基本的に後遺症は存在する・・・と理解し、以下の考察では、米国心理学会での実態報告を、4000名に適応したい。1966年以降、拉致監禁された人数を4000名として、1000名が元の教会に戻り、3000名がその教会を脱会したとして、話を進めていく。
石崎淳一教授の調査によれば、PTSD である可能性の高い人の割合は、現在でも12.5%あるということだ。これを、4000名に当てはめると、500名の人たちが今も、後遺症で苦しんでいるということになる。500名の内訳は、125名が現役統一教会員、375名が元統一教会員ということになる。後遺症に苦しむ375名の元教会員というのは、信頼できる数字ではないかもしれないが、少なくとも、麻子、美佐、裕子のような後遺症に苦しむ人々が、もっと多くいてもおかしくはない。
教授はさらに、PTSD の症状の出る割合と、家族関係修復の度合いとの関連を指摘している。家族関係の修復の度合いが低い人はPTSDの症状が出る割合が高いという傾向があるという。これは、現教会員のほうが、元会員よりも、より難しい状況(後遺症の割合高い)かもしれない。
今、すぐに拉致監禁が完全になくなったとしても、後遺症に苦しむ500名がいるのである。今後も、拉致監禁の後遺症で苦しみ続ける人々がいるのである。今すぐに、拉致監禁事件がなくなったとしても、拉致監禁による後遺症問題は、これからも続くのである。
(あらためて、最後に言っておくが、現役信者に対する調査結果を、元信者に適応するには、少々無理があるかもしれない。しかし、麻子、美佐、裕子のように、後遺症に苦しむ元信者がいるのも、また事実である。そのあたり、考慮に入れて、各自、考えていただきたい。)
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麻子さんの一周忌を前に、
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【関連する記事】
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-374.html#comment7838
「もう一つ気がかりなのは、中島さんがまた入院されたことです。拉致監禁の後遺症を克服するのは実に大変なことと改めて痛感する次第です。」(引用終わり)
中島さんというのは、私の今回の記事では、下の名前だけ使って、裕美さんとしている。裕美さんの監禁事件は、1989年、今から、24年前のことである。いまでも、激しい後遺症に苦しみ、入退院を繰り返している状態である。
米本さんの「我らの不快な隣人」から引用(P38)
「麻子だけでなく、美佐も裕美も、統一教会を脱したものの、拉致監禁によるPTSDで社会復帰ができずにいた。初めて麻子に会ったとき、脱会からは6年が経過していたが、統一教会陣営あるいは反統一教会陣営で、彼女たちの状態を気にかけている人は一人もいなかった。麻子たちは社会から、歴史から忘れられつつあった。」
ずいぶん前になります。
1-2週間、同室だった女性のことです。
一晩中布団の中で誰かと話しているのです。
誰もいないのに。
朝起きられないだろうと思ったら、
きちっと起きてくる。
でも話しているのです、誰もいないのに。
私が話しかけると普通に会話します。
でもちょっと目を離すとまた誰もいないのに話し始める。
食事をすると、毒が入っていると言って
吐くのです。
それが1-2週間続きました。
とてもかわいそうでした。
以前は普通だった。実家に帰れない。と
聞いたように思います。
拉致体験者だったのかもしれません。
脱出した場合、居場所を隠すために
別の場所に移動することも多いのでしょう。
知っている人がいなくなってしまうのでは、、、
拉致に対して無知でした。
最近その人を毎日思い出します。
コメント、ありがとうございます。拉致監禁が終わっても、拉致監禁問題は続きますね。今、メルボルン空港です。