2013年10月02日

拉致監禁による強制説得は有害な介入:米国心理学会で研究発表

このブログでは、過去に、月刊誌 「財界にっぽん」 の人権シリーズから、何度か、全文引用させて頂いた。2013年10月号にて、同じ人権シリーズの第42回として、「米国心理学会で強制棄教による*PTSDの実態報告 (副題:拉致監禁被害者400人対象の初めての学術調査)」という記事が、2ページにわたり掲載された。

この記事は、神戸学院大学の石崎淳一教授が、2013年8月1日、世界で最も権威のある米国心理学会(*APA)の年次総会にて、拉致監禁被害者の精神的後遺症の実態について研究報告の内容をまとめたものである。出版元、そして関係者の皆様の許可のもと、全文を紹介させて頂く。

*PTSD = Post Traumatic Stress Disorder = 心的外傷後ストレス障害
自然災害やテロなどの死の恐怖を感じるような衝撃的な体験によって心の傷(トラウマ)が生じ、様々な症状を引き起こす障害のこと

*APA = American Psychological Association = 米国心理学会
http://www.apa.org/


財界にっぽん 2013年10月号 P44〜45 人権シリーズ 42 by 大崎義道
以下、その全文です。ブログでは、字数制限もないので、行間・段落・カラー等のデザイン、そして、中見出しは、ブログ上で、より読みやすくするため、適宜、追加・編集させていただきました。ご了解ください。
米国心理学会で強制棄教によるPTSDの実態報告
--拉致監禁被害者400人対象の初めての学術調査

心理学の分野では、世界的に最も権威あると言われている米国心理学会(APA)。今年の夏にハワイで開かれたAPAの年次総会で、日本における拉致監禁・強制棄教の被害者の精神的後遺症の実態が初めて報告された。強制棄教事件が今なお後を絶たない日本の異常な状況を世界に向けて告発するという意味でも、非常に意義が大きいと言えるだろう。


2013年夏、ハワイで米国心理学会の年次総会開催
APAの第121回年次総会のメイン会場であるハワイ・コンベンション・センターは、ワイキキ中心部から会場まで徒歩で20分。南国の風を頬に感じながらヤシの並木に沿って歩いていると、自然と開放された気分になってくる。

APAの年次総会は、心理学の専門家や学生などが1万1千人以上集う、この分野では世界最大のイベントだ。米国内のみならず世界各地から、心理学関連の研修者をはじめ、臨床や教育など様々な分野の専門家が参加する。

今年の総会は、夏の休暇シーズン真っただ中の7月31日 - 8月4日に開催され、心理学に関係するあらゆる分野をテーマに、大小合わせて1000を超えるセッションが行われた。


日本の大学教授が、強制棄教被害者のPTSD発症の実態発表
今年のAPAの総会で、拉致監禁・強制棄教の被害にあった統一教会のPTSD(心的外傷後ストレス障害)発症の実態について調査研究した成果が発表された。

今回発表を行ったのは、神戸学院大学の石崎淳一教授だ。臨床心理士でもある石崎教授は、関西地方で定期的に開かれてきた拉致監禁被害者の集いに、心理的サポートを行うボランティアとして参加。被害者の中にPTSD的な症状を持つ人がいることを目の当たりにした。

PTSD とは、自然災害やテロなどの死の恐怖を感じるような衝撃的な体験によって心の傷(トラウマ)が生じ、様々な症状を引き起こす障害のこと。具体的には、

1) 悲惨な体験を反復的に思い出したり、夢に見る(再体験)
2) 悲惨な体験を思い出させる状況や場所などを避ける(回避)
3) 睡眠障害や集中力の低下(過覚醒)


などの症状が1ヶ月以上続き、日常生活にも支障をきたすようになる。日本では、1995年の阪神淡路大震災の後にマスコミ等で取り上げられ、注目を集めるようになった。


本格的な臨床データ
まず石崎教授は、心理的サポートを担当した関西の被害者10人を対象に心理調査を実施。その研究結果を韓国心理学会(2011年)と日本トラウマティック・ストレス学会(2012年)で発表した。

関西での臨床経験と心理調査データを踏まえた上で、石崎教授は2011年から12年にかけ、他の臨床心理士などの協力を得ながら、日本全国の拉致監禁被害者400人を対象にアンケートによる心理調査を行った。強制棄教による精神的後遺症の実態を調べるため、このような学術調査が行われたのは日本では初めてだ。教授がAPAの年次総会で発表したのは、その調査の分析結果である。

発表のタイトルは「日本における再改宗のための、”強制的説得”による心的外傷後のストレス症状」。発表は8月1日午前、研究成果をまとめた大型ポスターを約1時間掲示板に張り出し、その前で解説する「ポスター・セッション」と呼ばれる発表形式で行われた。


被害直後は、7割がPTSDの可能性、現在でも1割以上
ここでその発表内容を少し詳しく見てみる。調査では、過去に拉致監禁・強制棄教の被害を受けた現役の統一教会信者400人に心理調査のためのアンケートを配布。郵送で回収された122人(回収率30.3%)のうち、基本データとなり得る96人を分析調査した。

対象となった96人び性別は、男性36人(37.5%)、女性60人(62.5%)。平均年齢は46.2歳(27歳 - 67歳)だ。

被害から経過年数は平均18.4年(2年 - 41年)で、複数回被害にあった人が30人(31.3%)いた。被害日数(合計)は、平均63.5日(1日 - 400日)だった。

調査の結果、PTSDである可能性が高い人の割合は、被害にあった直後には71.9%に達し、現在でも12.5%に上ることが分かった。

一方、PTSDである可能性の高い人のうち、通院あるいは入院した人の割合は12.3%、医療機関を1回受診した人は3.1%だった。これに対し、「受診暦なし」の割合は84.6%に上った。

被害者の多くは20年近く前のことであり、当時はPTSDについて一般ではほとんど知られていなかったことが背景にあるが、拉致監禁被害者の多くが、人知れず精神的な後遺症と闘ってきた実態が浮き彫りとなった。


家族関係修復がカギ
また、拉致監禁・強制棄教の被害を受けた後、家族関係が修復している度合いが高い人はPTSDの症状が出る割合が低くなり、逆に家族関係の修復の度合いが低い人はPTSDの症状が出る割合が高いという傾向がみられた。

信者を実際に監禁し棄教を迫るのは、たいていは信者の親や兄弟などの家族。拉致監禁が行われた後、特に信者が信仰を守り抜いた場合には、家族関係が悪化するケースがほとんだ。教授は「家族関係を修復させる努力をすれば、(拉致監禁被害者の)PTSDをケアする上で効果的である可能性が高い」と見ている。


強制説得は有害な介入
発表の中で教授は 「これらの結果が示唆していることは、棄教目的の強制的説得は、大きな精神的衝撃をもたらすものであり、深刻な精神的危害をもたらす結果になる可能性があるということだ (中略) このような有害な介入はやめられなければならない。そして、強制的説得を経験した特定の対象者のための新たな心理的ケアの手法が開発されある必要がある」 と結論付けている。


アメリカでは「ディプログラミング」は、すでに”死語”
今回発表する中で、教授は複数の専門家と意見交換を行う機会があったが、きわめて特徴的な反応があった。

「ディプログラミング(強制的説得)」という言葉を知っているかと尋ねると、彼らは一様に「知らない」「分からない」と答えたのだ。少なくとも米国の一般の心理学者の間では、「ディプログラミング」という言葉はすでに、”死後”になっていることが分かる。

米国では、1970年代から80年代初めにかけて拉致監禁・強制棄教事件が多発した。だが、実行犯が相次いで裁判で敗訴し、多額の損賠賠償を科せられるよになった結果、強制棄教は根絶されていった。教授は「1980年代の前半であれば、もうちょっと反応が違ったかもしれない。(「ディプログラミング」を)学術論文のデータベースで検索しても、80年代の論文しか引っ掛かってこない」と述べる。

強制棄教事件が今も後を絶たない日本の状況がいかに異常であるかを再認識されられるエピソードだと言えるだろう。


記事中に出てくる、石崎淳一教授は、室生忠編著「大学の宗教迫害」(日新報道)の第二章「鼎談 大学の「カルト」対策の現状をどう見るか」 の中で、米本和広氏、室生忠氏との鼎談(ていだん = 3人で話すこと)が、60ページにわたり掲載されている。

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posted by 管理人:Yoshi at 22:17| Comment(3) | TrackBack(0) | PTSD 精神的後遺症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Yoshiさん

大崎義道氏が「財界にっぽん」10月号に書かれた、世界最高権威APAでの石崎淳一教授の発表(『日本における「強制的説得」の心的外傷後ストレス症候群』)の報告全文を転載くださって有難うございました。

私は、未だ根絶されていない日本のディプログラミングを完全に終焉させる決め手は、このPTSDの問題だと思っています。Yoshiさんも同じ認識で石崎教授の動向に注目されているのでしょう。

それは脱会説得派も同様らしくて危機意識を募らせ、なにかと、石崎教授に対する妨害工作を画策してるようです。私も機会があれば石崎教授に直接話を聞くつもりでいます。
Posted by 室生忠 at 2013年10月04日 13:28
室生さん、

コメントありがとうございます。この記事を書いてから、仕事関係でバタバタしていておりました。

> 石崎教授に対する妨害工作を画策してるようです

島田裕巳教授へのバッシングが頭をよぎります(我らの不快な隣人 p298)。

妨害工作の主体は、おのずと明らかですが・・・ もし、彼らが、そういう工作をしてくるなら、このブログで、100倍くらいにして返してあげたいと思います。
Posted by Yoshi Fujiwara at 2013年10月15日 09:38
関連情報です。

「財界にっぽん」2013年12月号にて、上記コメントを頂いた室生忠さんによる、「強制棄教によるPTSD研究を忌避し抑圧する日本の学会−米国心理学会で発表した石崎神戸学院大教授に聞く」と題する記事が発表されました。

もう少し詳細は、
http://kidnapping.jp/news/20131120.html

日本在住の方、是非、一部、買って読んでください。
Posted by Yoshi at 2013年11月21日 16:30
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