2013年09月18日

米国務省「宗教自由報告書」1999-2006:8年連続で拉致監禁問題

4週間以上前の記事の続きである。今回は、アメリカ国務省の国際宗教自由報告書の、1999年度版から、2006年度版までの特徴をみていきたい。少々、間が空いたこともあるし、前回の二つの記事も参考にして欲しい。

★米国務省「宗教自由報告書」- 日本に関する 「5分の1」 は拉致監禁の報告
 http://humanrightslink.seesaa.net/article/371130733.html

★米国務省「宗教自由報告書」- 拉致監禁 2000年前後の動向
 http://humanrightslink.seesaa.net/article/372256576.html

次のグラフは、1988年以降の統一教会の会員に対する拉致監禁の発生件数である。
拉致監禁数グラフ 1988年以降.jpg

拉致監禁のピークは、1980年代後半から、1990年代前半である。アメリカ国務省の宗教自由報告書が出されるようになった1999年には、ピーク時に比べれば激減しているが、年間、100名前後が拉致監禁されていた時代である。

今回の記事では、1999年度版〜2006年度版までをみていきたい。国務省の報告書では、2007年度版で、一度、拉致監禁の記述がなくなる。その後、2008年度版から再開する。2006年までの報告書の特徴を感じていれば、2008年以降の報告書の見方がわかるのである。

報告書の内容から、1999年度版から、2006年度版を二つに分けてみた。
1999年度版〜2002年度版:拉致監禁件数は減少傾向、報告書は同じ文章の繰り返し。
2003年度版〜2006年度版:民事訴訟の結果が出た頃、報告量も多くなる。

では、この期間をもう少し詳しく、報告書の特徴をみていきたい。


★同じ表現・文章の繰り返し
何年にもわたって、ほぼ同じ以下の二つの文章が繰り返し使われている。
(太字、下線は、あとで解説する部分)
Members of the Unification Church have alleged that police do not act in response to allegations of forced deprogramming of church members.

They also claimed that police do not enforce the laws against kidnaping when the victim is held by family members and that Unification Church members are subjected to prolonged detention by individuals, who are not charged by police.

統一教会のメンバーは、教会員に対する強制改宗の訴えに対し、警察は役目を果たしていないと申し立てを行った。

教会メンバーは、被害者が家族等により拘束された時、警察は、拉致に対し、法を執行しておらず、教会メンバーは、継続した監禁を受けることになり、その個人等は、警察により起訴されていないと主張している。

この文章は、1999年度(最初の報告書)から、2004年度まで、6年連続で出てくる。特に、2002年度版までは、それ以外の記述がほとんど何も無い。(唯一、2000年度版で、国会での拉致監禁問題の質疑応答が取り上げられている。)

ほぼ同じ文章を、6年も使い続けるのは珍しいかもしれないが、同じ文章を、数年にわたって使うのは、報告書の他のトピックでも、よくあることである。報告書は、前年を踏襲(とうしゅう)し、保守的なのである。そんな、保守的な中に、変化を見つければ、報告書が読めてくる。それまで使われてきた文章が使われなくなった時、変化が見られた時、新しい表現・文章が現れた時を、見ていけば興味深いことを発見できるかもしれない。(このことは、2008年以降の報告書で、もっと役に立つかもしれないので、覚えていて欲しい。)


★「誰々さんが 〜 と主張した」の連発
上記、二つの文章は、A alleges that〜. A claims that〜. (A が 〜 のことを主張した)という形をとっている。Allege も Claimも辞書を見れば、主張するとか、そんな意味が出てくると思う。Allege は法律問題によく出てくる言葉で、利害の相反するグループの一方の主張で、claim は、あまり根拠無く主張したり(言い張る)、権利を要求したり(日本語のクレーム)、そんな意味である。

このあたりの報告書では、Allege と Claim しか使われていないが、2005年度版では、似た言葉として、Report(報告した), Estimate(推定する), Express(表明した), According to 〜(〜によると)と、いう表現も加わるようになるが、基本的には、これらすべて 「誰々さんが 〜 と言っています」という内容である。2008年以降の報告書でも、これらの言葉は使われる。

国務省が、こういう単語(allege, claim, report, express, according to〜)を使うのは、「国務省は、あくまでも中立的立場で、それぞれの主張をとりあげているよ」っていうことである。国務省というのは、日本では外務省に相当する官庁である。アメリカ政府にとっては、その国との外交関係もあるし、中立を保たなければならないのである。

拉致監禁を扱う人権活動家や、被害者にとっては、どっちつかずの、生ぬるいい報告書のように見えるかもしれないが、国務省なりに、できる最善を尽くしているのだろう。宗教の自由の問題がないということであれば、国務省はその問題を取り上げる必要は一切ない。国務省が取り上げているということは、「宗教の自由問題あり」ということである。


★変化は突然に、
最初に紹介した文章が、6年使われてきたと書いたが、6年目の2004年版に、気づかないような変化がある。上記2番目の文章であるが、継続した監禁を行い、そして、起訴されていない「個人等」の記述が、「家族のメンバーや、強制改宗家(ディプログラマー)たち」とより具体的な表現となっている。

(1999年度版〜2003年度版
They also claim that police do not enforce the laws against kidnaping when the victim is held by family members, asserting that Unification Church members are subjected to prolonged arbitrary detention by individuals, who are not charged by police.

(2004年度版)
They claim that police do not enforce the laws against kidnapping when the victim is held by family members and that Unification Church members are subjected to prolonged detention by family members and deprogrammers, whom the police do not charge.

同じ繰り返しのように見えたが、6年目にして、拉致監禁を行い、起訴されていない「人々」を、「家族のメンバーや、強制改宗家(ディプログラマー)」という具体的な記述に変えたのである。国務省の前年を踏襲(とうしゅう)したかのようなレポートにも、変化はやってくるのである。しかも、誰も気づかないような形で。


★裁判結果とともに、記述が増える
2002年〜2004年にかけて、エホバの証人、統一教会の富澤さん、寺田さん、今利さん、アントールさん等の民事訴訟の判決が出るようになり、それに従い、国務省報告書も、拉致監禁に関する取扱量が増えてくる。2004年版では、全体の4分の1が、拉致監禁問題について書かれており、国務省の関心の高さがわかる。http://humanrightslink.seesaa.net/article/372256576.html

グラフ:日本に関する報告書全体からみて、拉致監禁問題の記述の占める割合
拉致監禁問題の占める割合.jpg

裁判に関する記述が増えてくると、それまでの allege とか claim などの、「誰それが〜と主張した」という表現は、少なくなり(消えたわけではないが)、替わって declare "deprogramming" illegal(ディープログラミングを違法行為と宣告), reject the church's appeal(教会側の上告を却下), rule in favor of victim(被害者勝訴), rule in favor of defendant(被告勝訴) との確定表現が増えてくる。

アメリカ国務省が、1999年から2006年度版まで、8年連続で、宗教の自由問題として、拉致監禁問題を扱ったのは事実である。国務省報告書が最初に出た1999年度版(報告期間は、1998年を含む)の頃には、年間100名前後が拉致監禁されていたが、2006年度版が出ることには、年間20名までに落ち込んできている。その減少に、どのくらい国務省報告書が影響を与えたかはわからないが、拉致監禁を行う牧師たちにとっては、報告書の存在は脅威だったのかもしれない。


2007年度版では、拉致監禁に関する記述がなくなるが、2008年以降、後藤徹氏の12年5ヶ月の監禁からの解放とともに、国務省宗教自由報告書での拉致監禁に関する記述が、年と共に、増えていく。そして、いろんなことが、報告書内で起こり、消えていく。(次回に続く)

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posted by 管理人:Yoshi at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ政府レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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