2013年05月01日

米政府諮問機関:「拉致監禁・強制改宗は甚だしい宗教の自由侵害問題」と認める

アメリカに、United States Commission on International Religious Freedomという機関がある。 略して、USCIRF、日本語では「国際宗教自由に関するアメリカ委員会(訳 by Yoshi)」という機関である。独立した超党派的なアメリカ合衆国の連邦政府諮問機関 (advisory board)で、委員は大統領、議会指導者によって任命される。USCIRは、海外の宗教の自由の普遍的権利を擁護し、宗教の自由に関する事実関係を精査し、大統領、国務大臣、議会に対し、政策提言をすることを任務としている。毎年、年次報告書を発表している。(参考URL:http://www.uscirf.gov/about-uscirf.html

読者の中には、「アメリカ国務省が毎年発表する『宗教の自由に関する報告書』との違いは何か?」と思われる方も多いだろう。

国務省はアメリカ政府直属の中枢組織であり、その報告書は、世界中すべての国を網羅している。USCIRF は、アメリカ政府により任命された委員がより独立した立場で提言を行っている。そして、USCIRF は、宗教の自由問題において、国家が迫害を行うような、より深刻で重大な懸念のある国だけを取り上げ報告するのが特徴である。USCIRF の報告書で扱われれば、より重大な宗教の自由侵害があるという事である。

これまで、日本の拉致監禁・強制改宗問題は、国務省の報告書には記録されてきたが、USCIRF の報告書に出て来ることはなかった。

今回の記事は、2013年度版USCIRFの報告書で、日本の「拉致監禁・強制改宗」問題が取り上げられたことに関してである。アメリカ政府の諮問機関が、拉致監禁・強制改宗問題を、甚だしい宗教自由の侵害と認めたということである。

2013年4月30日、ワシントンD.C.にて、「2013度 USCIRF 年次報告書:世界の中で、宗教の自由を侵害する最悪国を特定する」という報道発表が行われた。まずは、その報道発表の文書を紹介したい。ただし、ちょっと長いので、最初の段落と、拉致監禁問題について言及されている部分だけ。

Press Release: USCIRF’s 2013 Annual Report on the State of International Religious Freedom Identifies World’s Worst Violators, April 30, 2013
報道発表:「2013度 USCIRF 年次報告書:世界の中で、宗教の自由を侵害する最悪国を特定する」2013-04-30
http://www.uscirf.gov/news-room/whats-new-at-uscirf/3987-press-release-uscirfs-2013-annual-report-on-the-state-of-international-religious-freedom-identifies-worlds-worst-violators-april-30-2013-.html
Washington, D.C. -- The U.S. Commission on International Religious Freedom (USCIRF), an independent federal advisory body created by the International Religious Freedom Act (IRFA) to monitor religious freedom abuses abroad, today released its 2013 Annual Report. The Report highlights the status of religious freedom globally and identifies those governments that are the most egregious violators.

ワシントンD.C. -- 国際宗教自由法に基づき設立された、独立した連邦政府の諮問機関USCIRF (国際宗教の自由に関するアメリカ委員会)は、本日、2013年度の年次報告書を発表いたします。その報告書は、世界各国の宗教の自由の状況に注目し、重大な侵害を犯している政府を特定しています。

(このあと、特別な懸念のある国々を、懸念第一段階、懸念第二段階国として、具体的にとりあげている。ここでは省略。そして、次の段落は、日本の拉致監禁について言及している段落。)

The USCIRF report also highlights the status of religious freedom in countries/regions that do not meet the Tier 1 (CPC) or Tier 2 threshold. These include: Bahrain, Bangladesh, Belarus, Ethiopia, Turkey, Venezuela and Western Europe. The Annual Report also addresses in-depth thematic issues: Constitutional Changes; Severe Religious Freedom Violations by Non-State Actors; Laws against Blasphemy and Defamation of Religions; Imprisonment of Conscientious Objectors; Legal Retreat from Religious Freedom in Post-Communist Countries; Kidnapping and Forced Religious De-Conversion in Japan; and Religious Freedom Issues in International Organizations.

そして、USCIRF 報告書は、「懸念のある国」の第一段階にも第二段階にも属さない宗教の自由の状況について取り上げています。これらの国々は、バーレーン、バングラデシュ、べラルース、エチオピア、トルコ、ベネズエラ、西ヨーロッパ諸国である。さらに、年次報告書は、テーマ別に問題を掘り下げて言及している。これらのテーマは、憲法改正; 民間による深刻な宗教の自由侵害; 良心的兵役拒否者の投獄; 元共産国での宗教の自由の法的後退; 日本における拉致と強制改宗; 国際機関にあける宗教の自由問題です。


さて、それでは、USCIRF (国際宗教の自由に関するアメリカ委員会) の2013年度の報告書の紹介である。
371ページにも及ぶ報告書である。日本の拉致監禁部分の言及は、302〜303ページである。ここでは、簡単に報告書の概要を紹介しながら、最後に、拉致監禁部分について紹介したいと思う。

United States Commission on International Religious Freedom - Annual Report 2013 -
国際宗教の自由に関するアメリカ委員会 - 2013度 年次報告書 -

http://www.uscirf.gov/images/2013%20USCIRF%20Annual%20Report%281%29.pdf
報告書は、大きく分けて、4つの章からなっている。「懸念国第一段階」、「懸念国第二段階」、「他の国地域」、「テーマ別問題」 である。

懸念国第一段階(19 〜 210ページ )
第一段階というのは、侵害の度合いが最大限に高いということである。15カ国が取り上げられとり、ビルマ、中国、エジプト、エリトリア、イラン、イラク、ナイジェリア、北朝鮮、パキスタン、サウジアラビア、スーダン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベトナムである。

懸念国第二段階(211 〜 259ページ )
第二段階というのは、第一段階についで、侵害の度合いが高く、要注意侵害国ということだ。8カ国、アフガニスタン、アゼルバイジャン、キューバ、インド、インドネシア、カザクスタン、ラオス、ロシアが取り上げられている。

他の国・地域(260 〜 287ページ
第一・第二段階のカテゴリーには入らないが6カ国と1地域、バーレーン、バングラデシュ、べラルース、エチオピア、トルコ、ベネズエラ、西ヨーロッパが取り上げられている

テーマ別問題(288 〜 305ページ )
テーマ別には、7つのテーマが提供されており、その6つ目が、日本の拉致監禁・強制改宗についてである。拉致監禁問題については、302〜303ページに報告されている。次の囲み部分が、その全文である。


国際宗教の自由に関するアメリカ委員会 - 2013度 年次報告書内
日本の拉致・強制改宗問題を取り上げた部分(302〜303ページ)

http://www.uscirf.gov/images/2013%20USCIRF%20Annual%20Report%281%29.pdf
長い英文の一段落は、日本語訳部分は適宜、段落分けしました by Yoshi)
Japan is a thriving democracy with an advanced judicial system, both of which have generally promoted and protected the freedom of religion and belief. Nonetheless, over the past several decades, thousands of individuals belonging to the Unification Church, the Jehovah’s Witnesses, and other new religious movements (NRMs) have been kidnapped by their families in an effort to force them to renounce their chosen beliefs. In some extreme cases, as with Unification Church member Toro Goto, individuals were confined against their will for a decade or more. Those abducted describe psychological harassment and physical abuse by both family members and “professional deprogrammers.” Police and judicial authorities have neither investigated nor indicted those responsible for these acts, often citing lack of evidence.

日本は、進んだ司法制度とともに、発展した民主主義国家であり、それらは、宗教・信仰の自由を推進し、保護している。にも関わらず、過去数十年の間に、統一教会、エホバの証人、他の新宗教運動に属する何千名という人々が、彼らの選んだ信仰を強制的に棄てさせる目的で、家族により拉致されてきた。

ある極端な例として、統一教会メンバーの後藤徹氏等は、自らの意志に反して10年以上も監禁された。拉致された人々は、家族のメンバーと "プロの改宗家" により、精神的苦痛と物理的虐待を受けたと述べている。警察・司法当局は調査もせず、たびたび証拠不十分という理由で、そららの行為に責任を持つ人々に対し、起訴もしていない。


The Japanese Constitution guarantees the freedom of religion and also protects citizens against false imprisonment. In addition, Article 18 of the International Covenant on Civil and Political Rights(ICCPR), which Japan has ratified, protects the freedom “to have or to adopt a religion or belief of his choice” and provides that “no one shall be subject to coercion which would impair his freedom to have or to adopt a religion of belief of his choice.” Nevertheless, Japanese authorities continue to see these cases as family matters in which they will not intervene.

日本の憲法は宗教の自由を保障し、そして、不法監禁に対し市民を保護している。さらに、日本の批准している「市民的および政治的権利に関する国際規約」の第18条は、”自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する”自由を保障し、"自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない" と規定している。それにも関わらず、日本政府当局は、これらの問題を家族の問題として扱い続け、介入しようとしていない。

The number of abductions for the purpose of forced de-conversion has dropped dramatically since the 1990s, though they have continued to occur each year, particularly targeting Unification Church members. For the Jehovah’s Witness, forced de-conversions stopped after an August 2002 court case declared their “deprogramming” illegal and several other cases resulted in civil judgments against parents and “professional deprogrammers.” However, in a 2003 Supreme Court case involving the alleged kidnapping and forced de-conversion of Unification Church members, the Court rejected the appeal, stating that the facts of the case did not violate the Constitution. Other criminal cases, including the 12-year abduction and torture of Toro Goto, have been dropped because of “lack of evidence.” The Unification Church alleges that dozens of cases of forced de-conversion still occur each year in Japan, including in the past year, when five cases were confirmed by human rights groups working on this issue.

強制改宗目的の拉致の件数は、特に統一教会のメンバーを標的にし、毎年起きてきたが、1980年代以降著しく減少した。エホバの証人の場合、2002年8月の"ディプログラミング"は不法行為と下された判決と、両親と"プロのディプログラマー(強制改宗家)" に下った民事判決の結果、(エホバの証人に対する)強制改宗はなくなった。

しかしながら、統一教会員の拉致・強制改宗に関連し、2003年、最高裁は上告を棄却し、その件の事実は憲法に違反しないと判断した。後藤徹氏の12年の監禁と虐待を含めて、他の刑事起訴は"証拠不十分"ということですべて却下されてきた。統一教会は、昨年も含めて、日本国内において毎年、10件以上の強制改宗が行われていると主張している。このうち、5件が、この問題に付いて調査を行っている人権団体により確認されている。


A civil case brought by Toro Goto against his kidnappers will proceed this year. The case has garnered media attention in Japan, as well as the attention of Japanese legislators. Religious and human rights groups that have worked to expose the practice of forced de-conversion hope that the number of abduction cases will continue to decline and that in the future police and judicial authorities will pursue criminal charges against family members and “professional deprogrammers” who kidnap and mistreat members of the Unification Church or other NRMs.

後藤徹氏により、彼の拉致犯に対し起こされた民事裁判が今年、行われる。この裁判は、日本のメディアと、日本の国会議員の注目を集めている。強制改宗問題を明らかにしようとする宗教団体、人権団体は、拉致監禁の件数は減少し続け、将来的には、警察・司法当局が、統一教会や他の新宗教運動のメンバーを拉致し、虐待する家族のメンバーや、"プロのディプログラマー" を刑事告訴することを希望している。



USCIRF の背景も含めてまとめました。
わかりやすい記事だと思ったら、
是非、クリックお願いします。

↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 統一教会へ
にほんブログ村

###


posted by 管理人:Yoshi at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ政府レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック