2012年12月16日

「国境なき人権」フォートレー代表 - 欧州国連本部で語る(中)

前回に引き続き、「国境なき人権」のフォートレ代表の、ジュネーブ国連本部での「日本の宗教迫害」イベント(2012年10月31日)のスピーチです。

前回、フォートレ代表は、なぜ、日本の拉致監禁問題の調査を始めたかについて語りました。今回は、日本の民事裁判での例を3つほど紹介し、そして、統一教会に入会した両親が、どのように拉致監禁にまで至るのかを説明しています。

出典元: http://vimeo.com/52998023
今回もですが、時間のある方は、是非、映像を見ながら、そして英文を追ってみてください。途中、いくつか、私の注もつけました。今回は(中)で、フォートレ氏のスピーチは、あと、もう1回あります。
00:42:02
There were no criminal cases with regard to kidnapping. There was never any prosecution on that basis of those kidnapped adults belonging to the Unification Church. But, there were a few, three civil court judgements that confirmed that the practice really existed.

拉致に関しての刑事裁判はありませんでした。統一教会に属する成人者の拉致に対する起訴は1件もありませんでした。しかし、その行為が明らかに存在したという3件の民事裁判での判決がありました。

00:42:27
In the first case, it was a pastor who was sentenced because he had taken part in the deprogramming activities, it was Hiroko Tomizawa. In the second case, it was again the same pastor with the help of assistant of Lutheran Church, so the pastor was again sentenced.

最初の裁判では、ヒロコ・トミザワさんのディプログラミングに関与していたと、牧師に判決が下されました。二番目のケースでは、ルーテル教会の執事の助けを借りた同じ牧師ですが、その牧師に、再び判決を下されました。

00:42:58
And the 3rd case was a case of Jehovah's Witnesses. Jehovah's Witnesses had been abducted by her husband. You know it is difficult for children or adult children to go to court against one's own parents. It is really psychologically a difficult move to do. I can compare that to the cases of domestic violence when women are victims of such practices by the husbands. They denied that they had been such victims for a long time. Finally they may resort to inform the police about that.

三番目は、エホバの証人のケースです。エホバの証人の信者が、彼女の夫により拉致されました。子供、成人した子供にとって、自分の親を裁判に訴えることは、皆様もご存知の通り、難しいことです。そうすることは、心理的に高い壁があります。女性たちが、夫からの家庭内暴力を受ける時の、そのような家庭内暴力にたとえることができます。長い間、そのような被害者であることは、否定されてきました。最後の手段として、家庭内暴力について、被害者は警察に訴えるかもしれません。

00:43:44
There were a few cases that went court to comparison with the number of kidnappings. But those 3 cases where it was openly said that indeed pastors and others had taken in part either kidnapping or in confinement or in deprogramming activities.

拉致の数に比較して、裁判までいったのは数件でした。しかし、これらの3件の裁判では、牧師や他の者たちは、実質、拉致、監禁、そしてディプログラミング活動に参加していていたと、公然と(判決の中で)述べられました

(訳者注:民事裁判については、国境なき人権の報告書の中の該当箇所を、本文のあとに、引用いたします。)

00:44:01
Case of Jehova's Witnesses is an interesting case because their movement told the lady, "Don't lodge to complain against her husband, but against the pastor who was an accomplice in the deprogramming and also in the confinement". They won the case against the pastor. That had a deterrent effect. Because after that, no other Jehovah's Witnesses - it was about 2005 - was ever kidnapped again. So I think the signal was strong enough to deter candidates to that sort of kidnapping.

エホバの証人のケースは興味深いものです。エホバの証人は彼女に、「夫を訴えるのはなくて、ディプログラミング、監禁の共犯者である牧師を訴えるように」と言いました。そして、その牧師に対して勝訴し、それは、抑止的効果を生みました。それ以来、2005年頃のことですが、他のエホバの証人に対する監禁は起きていません。そのような監禁を抑止する点で、十分に強い警告だったんだと思います。

00:44:45
So, few cases had come some visibility. I must say that there's a scenario behind that. Common scenario for all of these cases of kidnappings.

いくつかのケースにおいて可視化が成されました。拉致監禁の背後に、あるシナリオ(筋書き)が存在すると言わざるを得ません。

00:44:59
The first phase of the scenario is that when parents of adult children who have university background - they are not illiterate, you can't cheat them easily - when the parents hear directly or indirectly from their children that they have changed their religion, and they joined the Unification Church or Jehovah's Witnesses or another one. Because of general climate in the media about these two movements which are not popular, so they are concerned.

筋書きの先ず最初は、両親が、直接にまたは間接に彼らの子供たちが宗教を変えたとか、彼らが統一教会、エホバの証人や他の団体に入会したということを聞いた時です。子供たちは、大学教育まで受けており、教養もあり、*簡単に騙すことが出来ません。人気のない、これら二つの団体についてのメディアの一般的な風潮により、両親は心配します。

(訳者注:*簡単に騙すことが出来ません。 - 教養のある息子・娘たちを、親が、騙して、連れ戻したり、退会させることは簡単ではないという意味か?)

00:45:38
They start looking for advice. They go to the internet, put those movement in google probably. They get negative information coming from anti-cult organization. Maybe if I were or have been in the similar situation, I would have done the same.

両親は、アドバイスを求め始めます。多分、インターネットで、Google で検索してみます。両親は、反カルト団体からの否定的な情報に触れます。多分、私が同じ立場なら、同じ事をするでしょう。

00:45:48
The more they collect information which is always negative the more their fears increase. At a loss, they look for human help for an association or individuals with whom to consult and in search of a solution to their anxiety. They may finally come cross exit counsellor, deprogrammer - doesn't matter the word that we use here to name them.

情報は、それは常に否定的なものですが、得れば得るほど、両親の心配はますます増加していきます。途方にくれ、両親は、相談してくれ、そして彼らの心配を解決してくれる団体、あるいは、個人からの助けを求めます。そして、両親は、最終的に、出口カウンセラー、ディプログラマー (彼らをどのように呼ぶかは大した問題ではないですが)と出会います。

00:46:30
Then, they may invite to attend study sessions. During which they are told how thoroughly wicked and evil the incriminated religious movement is. That discourse of course instils more fear in their minds. Success stories of abductions are then shared by other parents who are in similar situations shared with them so as to induce them to "rescue" their loved ones any means including abductions.

そして、それから、勉強会に誘われます。勉強会で、両親は、その犯罪的宗教団体がいかに危険で、邪悪であるかを、徹底して教わります。当然の事、その勉強会での話は、両親の心に、より強い恐怖心を植え付けます。そして、拉致の成功例が、同じ状況の他の両親から話され、両親は、愛する我が子を拉致も含めてどんな手段でも、"救出" するよう仕向けられます。

00:47:08
In this way family members may be slowly step after step convinced there's no alternative solution. Then abduction, isolations and then hiring former co-religionists to putting to using coercive persuasion and exit counselling leading to de-conversion, and they hear success stories. Of course it is not easy to collect such testimonies, especially from people who abducted their sons or daughters.

このようにして、家族のメンバーは、一段づつ、ゆっくりと、もう他の解決策はないと確信するようになっていくのかもしれません。そして、拉致し、閉じ込め、元信者を雇い、強制的説得、出口カウンセリングそして、改宗へと導き、成功例となります。もちろん、このような証言、特に、息子・娘を拉致した人々からの証言を得るのは、簡単なことではありません。

00:47:44
I managed to meet such couple father and daughter. I interviewed them. It was rather emotional on both sides. At the end I asked the lady, "Well, how do you feel now about you father and mother (she had died in the mean time) who abducted you not only once but twice - three times". She said, "Well, with my faith I tried to pardon, but it's difficult "

私は、そのような二人、父と娘にかろうじて会うことが出来ました。二人にインタビューしました。双方共、かなり不安定でした。最後に私は女性に、「ところで、あなたを一度だけでなく、二度も三度も拉致したお父さんとお母さん(お母さんは、すでに亡くなっていましたが)に対して、今はどのように感じていますか?」と尋ねました。彼女は、「うーん、信仰で赦そうとしましたが、難しいことです。」

00:48:17
When I asked the father what are the feelings what you did before. He said, "I don't regret anything." It was really the moment of high intensity because I'm sure they had never both of them been together talking again together about what had happened in their relation before and how they were feeling afterwards.

私は、お父さんに、過去の行為についてどう思うか尋ねました。彼は、「私は、何も後悔していません。」と言いました。それは、実に、張り詰めたように緊張した瞬間でした。彼ら、二人共、彼らの関係の中で、過去に起きたことや、その後に感じたことを、会話したり、共にすごしたりしなかったのだと確信しました。

00:48:42
So people are concerned, they meet and are in contact with anti-cult organizations. Most of them are run by Protestant churches, Evangelical churches and Pentecostal churches.

両親は心配し、反カルト団体と連絡をとります。それらのほとんどは、プロテスタント教会、福音派協会、ペンテコステ派教会により、運営されています。

00:49:00
Then comes the planning of abduction. That must be carefully prepared. Then they again those parents get some classes, and former parents share with them the technical sides of the abductions. So to have a rental contact, how to close windows, doors so that the person cannot escape, how many people should be involved in the kidnapping because parents are older, children are 20s or 30s so physical strength is there. That's why they usually perform in family. You can have 5 people, 10 people, in rare cases even over 20 people. So that abduction is taken place and through the testimonies which you heard before you had very concrete example in the way it happened how really they were also confined for a long period of time.

次の段階は、拉致の計画です。両親は、再び学習会に出て、元(拉致に成功した)両親が、拉致の技術的な面を指導します。賃貸契約、逃げられないように窓やドアの閉め方、拉致には何人必要かなどです。両親は年をとっており、子供たちは、20代、30代で、肉体的力の差は歴然です。だからこそ、拉致は、家族で行われます。5人必要かもしれないし、10人かも、場合によっては、20名以上になります。そうして、拉致が実行されます。それが、どのように起きた、そして、いかに長期間にわたって監禁されたかの具体的な例は、皆様、*つい先ほど、お聞きになったとおりです。

訳者注: *つい先ほど: フォートレ代表のスピーチ直前に、後藤徹さんの証言、そして、ミツコ・アントールさんの証言の代読がありました。


拉致監禁に関する民事裁判について:
国境なき人権の報告書「棄教を目的とした拉致と拘束」の第二章 現地調査の報告の3ページ目
米本和広氏のブログ「火の粉を払え」で全文掲載あり。
http://yonemoto.blog63.fc2.com/blog-entry-319.html 
 最後に大事なことだが、2002年と2004年の3件の民事裁判での判決は、棄教目的の拉致・監禁の事実を認定し、さらに強制的な脱会説得を違法と断定し、その加害者を非難した。

 富澤裕子さんが両親と脱会カウンセラーの高澤守を相手取って起こした訴訟の判決で2002年2月22日、広島高等裁判所(松江支部)は、両親が31歳の富澤さんを逮捕し、1997年6月7日から翌年8月30日まで監禁した事件について、違法行為を認定し、「控訴人高澤は、逮捕・監禁を幇助(ほうじょ)した」と断定した。

 同牧師に関して判決はさらに、「控訴人高澤の説得活動は、…被控訴人が違法に逮捕、監禁されている状態を知りながら、それを利用してなされたものであり…正当な宗教活動を逸脱しているものというほかなく、控訴人高澤の説得行為は違法性を阻却されるものではなく、控訴人夫婦らの幇助者として連帯して損害賠償責任を負うものである」と述べ、「控訴人らは連帯して金15万円を支払え」と言い渡した。

 寺田こずえさん(注14)が両親と脱会カウンセラーの高澤守と尾島淳義(福音ルーテル教会執事)を相手取って起こした訴訟の判決で大阪高裁(第9民事部)は2004年7月22 日、寺田こずえさんの両親と高澤は、こずえさんの意思に反して身体的に拘束した状態で脱会説得を行うことによって、共同で不法行為を行ったと判示し、寺田こずえさんの移動の自由を拘束したことに対して、共同して20万円を支払えと命じた(共同不法行為)。尾島に関しては、彼の説得活動が会話にのみ限定されていたことを根拠に、違法性は認めなかった。

 エホバの証人の女性信者が、夫と脱会カウンセラーだった牧師(注15)に拉致された事件で、大阪高等裁判所第10民事部の3人の判事は2002年の判決で、同牧師が脱出不能に改造した建物を提供し、原告の身体・精神の自由を不法に侵害する行為に加担し、それらの実行に具体的に関与したのであるから、原告を監禁する共謀者だったと断定した(注16)。裁判所は、牧師としての正当な「牧会活動」である、との主張を退け、原告への慰謝料として30万円、弁護士費用として10万円の支払いを命じた(注17)。これ以降、エホバの証人の信者が拉致されていないことから、この訴訟は抑止効果があったと思われる。


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posted by 管理人:Yoshi at 07:35| Comment(3) | TrackBack(0) | 人権活動 国連/ヨーロッパ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昨夜、本記事をアップして、きょうは、ほとんど一日中、遊びに出かけていたのですが、どうしても、フォートレ代表のスピーチの中から、二つの言葉が頭から離れず、感じたことを、先ほど、米本さんのブログと、後藤裁判支援の会のブログに書き込みました。以下は、そのコピーです。

多少、最後と最後、それぞれの投稿先で違っていますが、だいたい、共通するところだけ。


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昨夜、「国境なき人権」フォートレ代表のスピーチの(中)をアップしました。

http://humanrightslink.seesaa.net/article/307738071.html#more

フォートレ代表のスピーチにキーワードが二つあります。Visibility (可視性、可視化)と Deterrent (抑止力)です。

フォートレ代表は、「3つほどの民事裁判の判決を引用し、可視化が成され、拉致監禁の抑止力となった。(特にエホバの証人の拉致監禁事件)」と発言しています。

極論すれば、「可視化」 → 「拉致監禁抑止力」ということでしょう。

拉致監禁事件を、一般により多く目に見えるように(読んだり、触れたりすることができるよう)すれば、すなわち、可視化すれば、それが抑止力となっていくということでしょう。私も、同意いたします。

この「可視化」に、最も貢献しているのが、米本さんの書籍や、ブログ「火の粉を払え」そして、もう一つ、後藤さんの裁判資料ブログと思っています。
http://antihogosettoku.blog111.fc2.com/

「可視化」こそ、拉致監禁グループの恐れることなのでしょう。
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Posted by Yoshi Fujiwara at 2012年12月16日 21:36
Yoshiさんのブログは貴重な情報が満載で、いつも興味深く拝見しています。

さて、小生のHP「室生忠の宗教ジャーナル(http://www7.ocn.ne.jp/~murou/)に、国連人権理事会・普遍的定期審査(UPR)についてのインタビュー記事(上)(「世界日報・拉致監禁の連鎖」http://www.worldtimes.co.jp/special2/ratikankin/main7.html)をアップしました。

今回のUPRでは、国連加盟国から拉致監禁を放置している日本政府への辛口コメントこそ聞かれませんでしたが、人権理事会に正面から問題提起された歴史的第一歩であり、その事実は軽視されるべきではありません。

日本の拉致監禁についての世界の問題意識は、ようやく「可視化」の必要性に注意が向けられ始めた段階で、環境の整備とともに監禁撲滅の運動はむしろこれからが本番です。

引き続き、小生HPにUPRについてのインタビュー記事(下)、「財界にっぽん」(1013年2月号)に執筆した記事をアップしていきます。
Posted by 室生忠 at 2012年12月17日 16:42
室生さん、

いつもありがとうございます。先ほどですが、フォートレー氏の残りのスピーチをアップしました。

今年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
Posted by Yoshi Fujiwara at 2013年01月31日 16:42
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