今日の記事は、CESNURの2012年国際会議 (2012年9月 モロッコで開催) の紹介だ。
CESNURは、新宗教運動を学問的に調査研究することを目的に、1988年に設立された純粋な学術機関である。さまざまな教団の問題点を明らかにする一 方、信教の自由を強調して、マインド・コントロール、思想改造、洗脳などの反新宗教的な概念に対しては終始、科学的な根拠を欠くとして批判的なスタンスに 立っている。(参考資料:財界にっぽん2011年9月、宗教ジャーナリスト室生忠氏のレポート)
前回の記事で紹介したICSAは、1979年に、いわゆる”カルト” 団体に入会した子供たちを救出(脱会)を目的として作られた組織がもとで、”反カルト団体”ということになる。ICSAと、CESNURとは成り立ちから異なっている。
今年のICSA国際会議 (カナダ・トロント) は、2012年7月5日〜7日まで開催された。ICSA国際会議は、毎年7月の第一土曜日にかかる木曜日から始まるようである。CESNURの国際会議は、ICSA会議の前後に行われるようである。宗教学者のアイリーン・バーカー博士など、両方の会議に参加する学者もいるので、日程上、ある程度離して、余裕をもって参加できるようにしてあるのだろう。
今年の、CESNUR国際会議は次の通り開催される。
CESNUR (Center for Studies on New Religions)
The 2012 International Conference 2012年 国際会議
Religion in a Globalized Context: The Mediterranean and the World
地球規模の宗教:地中海と世界
El Jadida, Morocco, 20-22 September 2012
2012年9月20日〜22日 モロッコのエル・ジャディーダにて
Chouaîb Doukkali University
以下、プログラム中、拉致監禁・統一教会問題に関連ありそうなものを抜粋した。この会議は、3日連続 (9月20日〜22日) であるが、拉致監禁・統一教会問題に関するセッションは、二日目の21日(金)の午前中に集中している。
http://www.cesnur.org/2012/el_programme.html
Friday September 21, 2012 9:15 - 11:00 / Session 6
第6 分科会:9月21日(金)9:15 - 11:00
Schism in the Unification Church?
分科会テーマ:統一教会の教派分裂?
Chair: George CHRYSSIDES
議長:ジョージ・クリサイズ(or クリシデス)
Schism in the Unification Church: A 2012 Update
James BEVERLEY (Tyndale Seminary, Toronto)
統一教会の教派分裂:2012年版最新情報
ジェームズ・ベベリー(Tyndale神学校、トロント・カナダ)
Schism in the Unification Movement: The Theological Dimensions (An Insider's View)
Dan FEFFERMAN (International Coalition for Religious Freedom, Washington DC)
統一運動の教派分裂:神学的側面(内部からの見解)
ダン・フェファーマン(国際宗教自由連合、ワシントンDC)
Friday September 21, 2012 11:30 - 13:00 / Session 10
第10 分科会:9月21日(金)11:30 - 13:0
Cult Controversies in Japan and the U.S.
分科会テーマ:日本とアメリカにおけるカルト論争
Chair: James BEVERLEY
議長:ジェームズ・ベベリー
Japan: Abduction and Deprivation of Freedom for the Purpose of Religious De-Conversion
Willy FAUTRE (Human Rights Without Frontiers, Brussels)
日本:宗教的脱会目的のための誘拐と自由の剥奪
ウィリー・フォートレー(国境なき人権、ブリュッセル)
"Anti-Cult Measures" by Japanese Universities
Shunsuke UOTANI (Universal Peace Federation, Tokyo)
日本の大学における”反カルト対策”
魚谷俊輔(ユニバーサル平和連合、東京)
Religion, and Sedition – or Free Speech and the Right to Bear Arms? The Domestic Terrorism Trial of the Hutaree, a Michigan-Based Christian Millenarian Militia
Susan PALMER (Concordia University)
宗教と扇動、言論の自由と武器携帯の権利?
ミシガン州のキリスト教千年至福武装信奉者 Hutaree の家庭内テロリズム裁判
スーザン・パーマー(コンコーディア大学)
興味深いことは、「国境なき人権」代表のウィリー・フォートレー氏が、ICSA国際会議に続き、CESNURでも、日本の拉致監禁問題について、プレゼンテーションを行うことだ。
そして、昨年の会議では 「日本における『青春を返せ』訴訟と強制改宗の関係」 について発表した魚谷俊輔氏が、今年は 「日本の大学における ”反カルト対策” 」 というテーマでプレゼンテーションを行うようだ。日本の大学の”反カルト”対策と’いう名目の宗教迫害に、世界の学者たちは驚愕することだろう。
日本の大学での宗教迫害については、宗教ジャーナリストの室生忠氏編著の 「大学の宗教迫害」 (日新報道) や、米本和広氏のブログ 「火の粉を払え」 のカテゴリー 「カルト化する大学業界の人びと」 の各記事を参考して欲しい。米本氏のブログでは、室生忠氏の 「財界にっぽん」 に連載された大学における宗教迫害の実態についての記事も紹介している。
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【関連する記事】
- 2012年ICSA(国際カルト研究協会)国際会議
- 拉致監禁派 国際舞台の終焉(下):それに貢献した日本の若者二人
- 拉致監禁派 国際舞台の終焉(中):宗教ジャーナリスト室生忠氏によるレポート
- 拉致監禁派 国際舞台の終焉(上):宗教ジャーナリスト室生忠氏によるレポート
- 日本のディプログラミング:国家(政府)による社会統制(前半)
- 魚谷論文:日本における「青春を返せ」損害賠償請求裁判と強制脱会との関連
- ワシントンDCで、宗教の自由を求めるイベント開催
- ICSA国際会議:拉致監禁問題 攻めの被害者と守りの弁護士
- 2011年7月8日反カルト国際会議にて、拉致監禁推進派・反対派が集結、プレゼンを..
- 脱カルト協会公開講座で、被害者、牧師に直接抗議
- フェファーマン氏の拉致監禁反対の孤独な闘いat ICSA会議
- CESNUR 2011国際会議 後藤徹氏分科会でプレゼン
- 韓国宗教協議会、東京で記者会見
- 信教の自由と人権」シンポジウム 2010-12-01 - 衆議院第一議員会館
- ◆宗教および公共政策研究所-日本の拉致監禁を糾弾
- ◆日本での強制改宗 - 被害者に拷問(Yahoo News)
- ◆イタリアでの宗教者会議 - 日本の人権侵害を調査するよう要請
統一教会の魚谷俊輔・拉致監禁問題対策委員会実行委員のプレゼンに続いて、有名私立大学のCARP代表が大学現場の「カルト対策」の実態を詳細に報告しましたが、参加識者の反応はすさまじく、CARP代表は質問責めにあいました。
専門家の驚きと反応は当然の現象です。民主先進国で全国の大学、特に国立大学が大学業務として学生の宗教迫害を行なっている国家、しかも、厚生労働省という国家行政機関所轄の独立法人が推奨先導して行なっている国は、世界広しといえどもは日本だけです。
それは世界の宗教専門家の知識と常識の埒外にあるわけで、この問題に関心と質問が集中したのは当然です。
日本の大学「宗教迫害」問題は、今後、世界の宗教研究者、宗教研究機関で集中的に論議され、追及されていくことになるでしょう。
この文章は米本和広氏のブログ「火の粉を払え」にも同文で投稿しました。
今年のCESNUR会議は1週間前に終わっていたはずなので、状況をいろいろ知りたいなと思っていたところです。ありがとうございました。
「日本の大学による『カルト対策』」は、既にCESNURウェブサイトに掲載保存されることが決定している通り、世界の宗教専門家が注目する内容です。
http://suotani.com/archives/319
また「会議報告」によれば、専門家によるポスト文鮮明についての初のレポート、宗教学者ジェームズ・ビバリーの「統一教会の分裂?」と題するプレゼンも行なわれました。