2010年12月22日

アメリカのディプログラミングの盛衰(3)

アメリカのディプログラミングの盛衰を訳し始めてから、GoogleとかYahoo等の検索エンジンから、このブログへのアクセスが増えています。検索されている言葉は、「ディプログラミング」とか、「テッド・パトリック」です。いったい、誰が調べてくれているのでしょうか? 

さて、今日の翻訳記事は、「アメリカにおけるディプログラミングの始まり」の後半部分です。この記事を、始めて見られる方は、カテゴリーのアメリカのディプログラミングの盛衰をクリックして、同じレポートの他の部分も参考にして下さい。

出典URL:http://www.religiousfreedom.com/index.php/index.php?option=com_content&view=article&id=483:the-rise-and-fall-of-deprogramming-in-the-united-states&catid=47:deprogramming-issues


原文と日本語訳
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Patrick’s techniques spawned a “cottage industry” of faith-breaking in the US. From 1971 through the 1980s, people without any professional training in religion or psychology acted as vigilantes, paid by the worried families of victims, to remove thousands of believers from their communities. In his book, Let Our Children Go, Patrick admits employing physical violence, secret incarceration, shame, and deprivation of food and sleep – the very tactics he accused the “cults” of using.[3] By 1979 Patrick alone boasted of “deprogramming” nearly 1,600 people from the Hare Krishna movement, the Unification Church, the Children of God, the Church of Scientology, the Divine Light Mission, the New Testament Missionary Fellowship, the Worldwide Church of God and others. Dozens of other faith-breakers followed Patrick’s example, many of them former members who had been pressured by Patrick to leave their groups. Professional private investigators likewise saw opportunities to develop a business for themselves by kidnapping and deprogramming members of various religious groups, and even of certain political movements. Perhaps even more troubling, the theory of “mind control” gained popular acceptance, to such a degree that certain psychologists were willing to declare a person mentally incompetent without ever having met them, simply because he or she had joined a certain group. Some judges even issued legal “conservatorships” requiring police to take the person by force and turn them over to the custody of their families and “deprogrammers.”[4]

アメリカにおいては、パトリックの技法は、強制改宗の「家内産業」を生み出した。1971年から1980年代にかけて、宗教や精神学の専門的訓練なしに、強制改宗家は自警団として、心配した被害者の家族から報酬を得て、何千名という信者を組織から引き離してきた。彼の著書「我らの子供を解放せよ」では、パトリックは、暴力、監禁、恥辱、食事・睡眠制裁の手法を使うことを認めている。これらの手法はカルトによって使用されているものだと、パトリックは非難した[注3]。 1979年までに、パトリックだけで、ハレ・クリシュナ、統一教会、神の子供達、サイエントロジー、the Divine Light Mission, the New Testament Missionary Fellowship, 神の世界教会、その他の組織から1600名を脱会させたと豪語した。他の何十名という強制改宗家は、パトリックの後に続き、その多くは、パトリックによって脱会工作を受け、元の組織を離れた元信者であった。プロの私立探偵は、金儲けのチャンスとみて、様々な宗教団体のメンバーを拉致し、ディプログラムしてきた。ある、政治運動を行うグループさえも加わっていった。さらに、問題なことに、マインドコントロール理論が、一般的に受け入れられるようになってきた。そして、ある精神科医は、単純にあるグループに入会したという理由だけで、会いもしないで、精神的不能者と宣言するようになった。ある裁判官は、法律的後見人保護の決断を下し、警察に対し、その人物を強制的に連れ戻し、かれらの家族とディプログラマーに引き渡すことを求めた。[注4]

Professors Thomas Robbins and Dick Anthony explained why deprogrammers seized upon the “brainwashing” theory they employ to justify their “deprogramming” work:

トーマス・ロビンズ教授とディック・アンソニー教授は、強制改宗家達が「ディプログラミング」を正当化するため、なぜ洗脳理論に飛びついたのか説明している。

Deprogrammers and anti-cult activists assert that the relevant issue is not freedom of religion but freedom of thought; that is, freedom from the insidious mind control to which cults are accused of subjecting their members. But candidates for deprogramming are generally assumed to be brainwashed simply by virtue of their affiliation with a certain religious sect. When deprogrammers, outraged parents, and anti-cult activists have their way, adult cult converts are subject to deprogramming without prior hearings in which they may contest allegations of their incompetence and without prior psychiatric examinations.[5]

ディプログラマーと反カルト活動家は、密接に関連する問題は宗教の自由ではなく、思想の自由であると主張する。すなわち、カルトメンバーが受けていると非難されている、狡猾なマインドコントロールからの自由である。しかし、ディプログラムの候補者は、ただ単に、彼らの宗教セクトの価値観に、一般的に洗脳されていると思われているだけである。ディプログラマー、憤慨した両親、反カルト活動家が彼らの方法を推し進めるとき、成人したカルトの改宗者は、事前に意見を聞かれることなく、ディプログラミングを受けるようになる。そういった意見を聞かれる場があれば、被害者は、かれらの資格のない主張と、事前の精神的検査のないことに意義を唱えるかもしれない。

*煩雑になることを防ぐため、[注]は、日本語訳のみにいたします。

[注3] テッド・パトリックは、彼自身の本の中で、被害者の「救出」作戦を次のように述べている。:ウェズは、車に向かって、手は屋根の上に置き、足は大の字のようにしてしがみついた。こんな格好では、彼を車に押し込めるのは不可能だった。私は即座に決断した。私は、彼の両足の間、股間を掴み、激しく握った。彼が、うめき声を上げると、両手で握った。それで、彼を殴り、頭を先に車の後ろ座席に押し込み、その上に乗りかかった。-- T. Patrick with T. Dulack, Let Our Children Go P.96 (1976)

[注4] 新宗教運動改宗の「洗脳」理論の歴史についての詳細は、このレポートでは触れていない。しかしながら、この理論は、アメリカでの裁判において重要な役割を果たしている。詳細は、次の著書を参考に。J. Gordon Melton, “Brainwashing and the Cults: The Rise and Fall of a Theory,” Center for Studies on New Religions, http://www.cesnur.org/testi/melton.htm, retrieved June 25, 2010. (NRM = New Religious Movement = 新宗教運動)

[注5] 参考文献、上記の通り。"Legitimating Repression" by Drs. Thomas Robbins of Central Michigan University, Dick Anthony of Graduate Theological Union, and James McCarthy of Sanctuary Institute, The Brainwashing/Deprogramming Controversy: Sociological, Psychological, Legal and Historical Perspective 322 (David G. Bromley and James T. Richardson eds.) (The Edeven Mellen Press 1983).
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日本語訳終了


ここから、管理人(訳者)によるコメント:

このようにして、テッド・パトリックによって、理論化されていったディプログラミング(強制脱会説得)が広がっていった。テッド・パトリックは、まるで、宮村峻のようである。この二人については、また、私のテッド・パトリックの研究が進むにつれて、書く機会があるかもしれない。宮村峻の研究については、原田和彦氏による宮村峻研究にお任せしたい。

テッド・パトリックの「弟子」が、ディプログラマーになっていくのは、まるで、宮村俊とその「弟子」と同じである。アメリカでも、警察、裁判所、精神科医がディプログラマー側に付いていたのは、日本の警察等が見て見ぬふりをしているのと似ている。

しかし、その後の展開が日本とは、ちょっと違ってくる。アメリカでは比較的早くに、キリスト教会、人権団体が、ディプログラミングに反対を唱えていくようになる。これは、次回に続く。


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この記事へのコメント
 ブログのアクセス件数が増えて良かったですね。

「ディプログラミング」や「テッド・パトリック」に関心がある人は、前コメントでも紹介しましたが、次の文献を読まれたほうがいいと思います。

『アメリカ「新宗教」事情』です。価値中立的な研究者が書いたもので、邦訳はジャプラン出版から出されています。絶版ですので、古本か図書館で手に入れることができます。

 日本語で書かれ、比較的入手しやすいのは、『宗教とナショナリズム』(世界思想社)所収の「反カルト運動とアメリカ・ナショナリズム」、『新世紀の宗教』(創元社)所収の「洗脳、マインド・コントロールの神話」です。

 邦訳はされていないけど、アメリカの書籍でディプログラミングについては書かれたものは、複数あるはずです。
 でも、研究の出発点となったのは、冒頭にあげた書籍のようです。
 参考になれば幸いです。
Posted by 米本 at 2010年12月23日 11:52
室生忠です。

米国の樋口晴久「アメリカ被害者の会」代表からクリスマスメッセージとして、日本の拉致監禁に関するニュースが在米韓国特派員Roh記者を通して、韓国通信社からヤフーコリアにまで広がっているとの報告がありました。

統一教会信者であると否とを問わず、日本の拉致監禁横行に対する世界の視線は、ますます厳しさを増しているようです。以下は樋口さんが翻訳して送ってくれた、ヤフーコリアの記事です。


米国でも、統一教拉致監禁ていた"衝撃の証言

"米国でも統一教会人に対する拉致監禁がありました。 私はその被害者ですよね”
最近日本で統一教会人に対する違法な拉致監禁の国際的な波紋が飛び火している中、米国でも80年代初頭までに、組織的な拉致監禁が横行していたことがわかり、衝撃を与えている。

統一教会のニューヨーク本部の広報理事ダグラスバートン氏(59 写真 )は最近、『グローバルウェブマガジン『ニュースにとのインタビューで胸の中に秘めていた驚くべき事実を告白した。 彼は"去る1976年に文鮮明総裁が主管した'祝福(合同)の結婚式』を通じ、日本の女性と結婚した後、米国で拉致され、6週間監禁され、やっと解放されることができた"と打ち明けた。
統一教会の人への拉致監禁は、今まで日本で発生したものと知られたが、米国でのアメリカ人を相手にした拉致監禁があったことを被害者が韓国のマスコミに明らかにしたのは今回が初めてだ。
彼は、"外部からのよく分からなかっただけであって、70年代半ばから、米国の統一教会信者に対する拉致監禁行為が暗黙のうちに起きた。 それが日本の組織と連携するかどうか明確な証拠はないが、明らかなのはアメリカ人の統一教会の人たちも日本人と同様の被害にあったという事実"と証言した。
彼が統一教会に入信したのは1969年。田町圭子氏と1975年10月8日の祝福の結婚式で婚礼を上げた。 結婚してから1年ぶりに某所で車による拉致被害に遭った彼は、"閉じ込められている間、食料や水の供給受け、暴行を受けてはいませんが、死ぬこともあるという恐怖と不安は計り知ることができなかった"と悪夢の記憶のとり戻した。
米国での統一教会人に対する拉致行為が消えたのは、1980年に拉致加害者らが米連邦刑事裁判所に付託されてからだ。 米国の法廷は、これらの者に有罪を宣告され、加害者の一部が刑務所に送られた。 これらの行為が明らかな宗教弾圧であり、当事者の人権を蹂躙することで、審判が下されたのだ。
しかし、バートンさんをはじめ、米国の統一教会人たちは憂鬱だ。 日本で横行している統一教会人の誘拐と不法監禁の行為が根絶されていないだけでなく、国際的な非難の世論にも、日本政府がこれを無視しているからだ。
バートンさんは"日本の拉致犯罪は米国に比べて、組織的な拷問など、過酷な暴力を加えている。 1年間ほどの監禁の例は多く見られ、なんと12年の5カ月間監禁され、2年前に脱出した後藤徹氏の痩せたこの悲惨な姿を見てください。 これで、どのように日本を21世紀の文明国だとするのか"と嘆いた。

昨年10月にSBSの『ニュース追跡』を使って日本国内で統一教会人の拉致監禁が最初に報道された後、ニューヨークマンハッタンの日本総領事館前でルオン.
ローズ、メソジスト教会の牧師をはじめ、マイケルジェンキンスACLC(アメリカの聖職者の主導者協会)会長など超宗派の聖職者や人権団体の指導者、日本人の被害者が拉致監禁行為を糾弾し、日本政府の捜査を求めるデモが行われた。 また、11月16日には、ニューヨークとボストンLAなど、全米10都市で、12月3日には、日本では、なんと2万1千人が参加した大規模なデモが続いた。
当時の集会で、マイケルジェンキンス会長は"数年前の藤田孝子さんは、日本で拉致され、暴力や監禁の末、自殺したが、日本人の家族たちは韓国人の夫が葬儀は出席することを妨げる厳しさを見せた"とし、"今この瞬間にも閉じ込められている犠牲者の苦痛に顔を背けてはならない"と声を高めた。

アメリカ人の夫と結婚した後、二度も拉致被害を受けた美津子アントール氏は、監禁された2階建てから飛び降りけがをした体でタクシーに乗って脱出するなど、悪夢の瞬間を回想し感情が噴出し涙を流し、周囲が騒然となった。
ニューヨークで拉致監禁被害の生存者の会(SAFE)を率いているルーク樋口会長は"私も結婚してから数ヶ月ぶりに日本に帰った時、統一教会に反対するキリスト教の牧師の指導によって、混乱させられた両親によって、数ヶ月間精神病院に監禁された。 統一教会を放棄するとの覚書を書いても、一ヶ月間家に閉じ込められて過ごしてからようやく脱出した"と語った。

▲拉致被害を迫られたアメリカ人のダグラス、バートン氏(左)と日本人のルーク樋口氏(右)
これらは先進国日本ではこのような暴挙が公然となされていても知らないふりをして、傍観する日本政府の不道徳を強く非難した。 一牧師は、"今、日本で起こることは、中国とイラン、アフガニスタンなどの人権弾圧と同じことである。 日本政府が引き続きこのような姿勢に出るのであれば、人権弾圧国家として不名誉を抱くことになるだろう"と警告した。

ワシントンタイムズ紙で記者生活をしたバートン氏のもとに3兄妹がいた。 彼は長男(27歳)が昨年、ニューヨークマンハッタンのラーニングセンターでは祝福の結婚式をあげたと紹介して"祝福受けなければならない神聖な結婚式を挙げた人に暴力的なリンチを加える行為は、どのようなことでも正当化できない"とし、より多く世間からの暖かい関心を頼んだ。
ニューヨーク=ノチャンヒョン特派員 croh@newsroh.com
<追加のニュース>
"韓国のマスコミの客観報道の評価に値する"拉致被害ボタン氏
ダグラス、バートン広報理事は、最近の日本での拉致監禁行為が、韓国のマスコミが公論化されたことを非常に感謝するという反応を見せた。
彼自身のジャーナリストだったので、メディアへの関心が格別だ。 彼は客観的な報道姿勢に真実究明をする韓国のマスコミの努力に敬意を表する一方で、日本のマスコミがあまりにも失望だという反応を見せた。
日本政府が無視してもマスコミが知らないふり見て見ぬ振りをすることはありえないということだ。 ニューヨークの拉致監禁被害の生存者の会(SAFE)を率いているルーク樋口会長も"去年の12月3日、日本では東京など、さまざまな地域で、同時に2万1千人が抗議集会を持ったが、日本のメディアは、たった1行も報道されてなかった。 統一教会の人は、最低限の保護を受ける権利もないのか?"とし、日本のマスコミの沈黙を強く批判した。

バートン取締役は、しかし、言論界全体の認識が統一教会に対する差別的態度との先入観から脱しつつあることを高く評価した。 彼は"数年前にはマスコミが統一教会に対して否定的に描写することがしばしばあったが最近では肯定的な論調に変わった"と感激の表情を浮かべた。

YAHOO KOREA.
http://kr.news.yahoo.com/service/news/shellview.htm?articleid=2010122313291480280&linkid=4&newssetid=1352



Posted by 室生忠 at 2010年12月24日 11:36
米本さん、
絶版の『アメリカ「新宗教」事情』、アマゾンで中古本ですが、手に入れることができそうです。私、日本に帰省している友人に頼んで持ってきてもらいます。(送ってもらうと、送料が本題の5倍くらいになりそう。)

室生さん、
記事、ありがとうございます。記事中の、ダグラス・バートン氏、アメリカの統一教会関連のウェブサイトで、時々、日本の拉致監禁に対する記事を寄稿していたので、どんな人かと思っていました。彼自身もディプログラミングの被害者だったんですね。
Posted by Yoshi at 2010年12月25日 15:58
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